南カリフォルニアに寒波が訪れたらしい。

ここで騒いでいる華氏40度から50度代というのは、摂氏4.4度から15度レベルの話である。

摂氏20度代に慣れている人が、一桁の気温を「freezing」と思うのは無理もない。私とて、南カリフォルニアに住んでいたときはこういう感覚を持っていた。朝の天気予報で華氏60度代の数字を見た日には、「今日は寒い」と思った。

朝、家を出るときに「なんて寒いんだ」と思って着込むと、昼間は暑くて仕方ないということにもなる。重ね着をして、昼間は脱げるようにしておかなければならず、荷物になるので好きではなかった。面倒なので、ちょっと肌寒いのを我慢してればいいやとTシャツのままで出かけ、結局その日はずっと曇ってあまり気温があがらず、「あまりの寒さに」学生センターでパーカを買ったこともある。

ウールのコートなどの出番は皆無。冬場に枯葉の舞う中、コートの襟を立ててセカセカと歩くのが好きであった私は、「住む町を間違っている」と思いながらも、他の大学に移るのが面倒で(編入可能)、結局卒業するまで過ごした。2年生までは、他の大学の資料を調べたりもしていたのだが、とにかく引越す手間とか、また新しい環境に慣れねばならぬのかとか、色々考えたら面倒になったのさ。面倒くさがりはダメだね。
大学を選ぶときは、その場所の気候、町のサイズなども考慮した方が良い。高校のときに使ったカレッジガイドには、大学のある環境が都市部なのか、郊外なのか、田園地帯なのか記してあったが、あまり重要視せず、なんとなく郊外にある大学に進んだのであった。気候も温暖で、美しいには違いない環境ではあり、わざわざそれを求めてこの大学に来る人もいたぐらいであるが、「自分ははっきりと四季の区別のある都市部に住むのが好きだ」と悟ったのであった。

通っていた高校と同じ州にある、四季のある都市部の大学にも受かっていたのだが、どうせアメリカに居続けるのであれば、別の州に住んでみたいと思って、入学は辞退した。考えても仕方ないことではあるが、あの大学に進んでいたらどうなったかなとふと思うことがある。高校の卒業式の日、M先生に「こっちの大学に進めばいいのに」と言われたことを思い出したりって、
こらっ、やめなさいっての。

気温の話からM先生の話になるって、いけないわ、あたしったら。

これは、南カリフォルニアの話であって、北カリフォルニアはまた全然違う。気候も違うし、雰囲気も違う。サンフランシスコなど、好きな街であった。

フィンランドに居る今では、「今日は零度で暖かい」と思うようになってしまった。ここまで厳しい冬が来るところに住むことになるとは、南カリフォルニアで紫外線を浴びまくっていた頃には想像もしなかったね。今住んでいるのは町中ではなく、郊外の住宅街であるが、町まで近いのでなんとかなっている。

ちなみに今日はマイナス10度で寒い。ノルディックウォーキングに出かけねば、と思いつつも、実はまだパジャマのままという怠惰な土曜の昼下がり。眠くなってきた。