筋肉痛。元旦からいったい何の修行だというような階段の上り下りをした。
実家で御節を食べた後、広島駅の新幹線口側にある二葉山のお寺や神社をPと見に行くことにした。小学校2年生のときに二葉山の上にある仏舎利塔へ遠足に行ったことがあるのだが、とても激しい山道で怖かったという思い出しかない。大人の今なら楽勝だろうと高をくくって行ったのが間違いであった。
まあ、山と言っても、丘レベルではある。しかし、日ごろ何の運動もしない中年女にとっては、ぜえぜえ息の切れる大変な道のりであった。
まずテクテクと歩いて辿り着いたのが、尾長天満宮。子供が多いなと思ったら、学業成就の神社らしく、合格の木とかいう木が植わっていた。皆さん、長い列を作って、参拝の順番を待っている。Pと私はその様子を見るだけにし、Pは娘へのおみやげにとお守りを買った。
その後、さらに上を目指して歩いた。立派なお宅が並んでいる住宅地なのだが、車がないと絶対暮らしてはいけまいという坂のきつさである。Pはスマホで位置を確認しながら元気に前へ進むが、私は既に無言で足も重い。
しばらくするとお寺があり、大きな墓地があった。斜面に段々に作ってある墓地である。

すさまじい階段の数。「行きたくない」と私。「でも、仏舎利塔はこの上にある」とP。そもそも仏舎利塔まで行ってみようかと提案したのは私である。ここでやめるのはイヤだったので、無言で一歩一歩階段を上る。「瀬戸内海が見えるぞ」とP。振り向くと下が見えて怖いので私は見ない。「手すりにつかまって見ればいい」と言われ、肩越しにちらっと瀬戸内海の島々を見た。景色はいいよ、確かに。しかし、この墓地にお参りする人は、なんて大変なんだ。
心臓をばくばくさせながら階段を上りきり、ついに仏舎利塔に到着。

二葉山平和塔と言うらしい。喉が渇いているが、無論、自動販売機などない。水道が設けてあったが、飲める水なのかもわからないので、手を洗って唇をぬらすだけにしておいた。ベンチに座って、ぼーっと市内の様子を見る。
右奥に見えるのが瀬戸内海
私にとってはものすごい運動量であった。そして、また下って山を降りねばならぬわけである。
遠足のときに通った山道らしきものを見つけた。墓地の方角とは反対にある。その道がどこに通じるかはわからないが、下に続いているので行ってみようということになった。記憶ではただの山道だったのだが、階段であった。

木々の中の階段を下りていくと、ときどきほこらがある。「怒りは敵と思へよ」とか、「望みが出来たら、困窮していたときのことを思ひ出せよ」とか、ありがたい言葉が書かれたものがあったりもする。
階段を下りるのは、上るより楽なようで結構大変である。ヨレヨレ足首にはまずいなと思いながら降りていくと、赤い鳥居がたくさんある階段に出た。大きな神社に続いているようで、さらに進むと車がわらわらと通り、駐車係の人がたくさん立っていた。境内に入ると、大勢の参拝客でにぎわっていた。

有名な神社なのかなと見回したら、東照宮であった。聞いたことはあったが、来たのは初めてであった。だが、もしかしたら小学2年のときの遠足で来ていたのかもしれない。
せっかくだから参拝していこうかと思ったが、尾長天満宮どころではない長打の列が神社の階段下までずーっと続いていたのであきらめた。

Pがおみくじを引きたいというのでつきあった。結果、大吉。すばらしい。私も引けと言われたが、せっかく大吉で盛り上がっているのにいまひとつな結果が出たら、信じていなくても気分はよくないので、引かなかった。
帰りは広島駅まで行って、カフェで紅茶を飲んだ。水分を取って元気が回復したので、うちまで20分ほど歩いて帰った。なんて健康的な一年の始まり。
足の筋肉が痛い。股関節も痛い。足腰を鍛えるために坂の上に住むというのもひとつの手かもしれない。
いや、そんなことしたら私はますます家から出ないな。