3ヶ月だかに一度、ばあ様は認知症のテストを受ける。誕生日、年齢、住所が言えるか、5つの物の名前を覚えていられるか、などのテストである。先日、2度目のテストの結果が出た。成績があがっていた。
新しい薬のおかげか、単なる偶然か。日々、ばあ様と接する我々から見ると、特に悪くもなっていないが、よくもなっていない。全体のスコアはあがっていたが、住所を聞かれた際、ばあ様は満州にいたときの住所をはきはきと答えたらしい。笑わすわー。「今住んでいる家の住所は?」と聞きなおされ、それも問題なく答えたそうな。
年齢に関しては、以前から曖昧な人である。「何歳かわかりませんが、誕生日は大正元年の・・・」とちゃんと答え、「95くらいでしょうか」と言ったらしい。いつも、「こう年を取るとはね。えーっと、今私は何歳?」と聞き、「99」と私が答えると、必ず「きゃー、もうちょっと負けて〜。95くらいにして」と言っているばあ様である。頭の中では、自分は95ということになっているのかもしれない。
しかし、こういうテストは、私でもすべてを正確に答えられる自信はない。言われた物を覚えておくテストとか、できるだろうか。シャープに物を考える能力が著しく劣ってきていると実感している昨今。新聞記事一つ読むのでも、最後まで読みきる忍耐力がない。表面だけをササーッと撫でる感じの読み方である。こんな頭で、新しい言語の習得などできるのだろうか。
近時記憶はともかく、ばあ様の頭の回転は速い。反応が実に速い。間髪入れずに言い訳や反論が返ってくる。「水道がちゃんと閉まってないよ」「そんなこと初めてよ」(過去何度もやっている)から、「(足を洗いにお風呂に行くばあ様に)いつも暑くなって汗をかくから、カーディガンは脱いで入ったら」「いーえ、汗なんかかかん。したいようにします。」から、色々しっかりした返答をしている。いちいちむかついてはいられない。修行。