ばあ様は、打ったところが紫色になってきて痛々しいが、「だいじょぶ」と通常通りに暮らしている。目の周りが紫になってきており、鏡を見て「なんか、喧嘩してきたみたい」とボクシングの真似をして笑う。「もう、気分はしゃきしゃきしたつもりでも、とにかく体がついてこんのよ」と言う。
今日もベッドに入り、「じゃ、ばいばーい」と言うので寝るのかと思いきや、30分後に起き、冷蔵庫を開け閉めする音。そっと部屋を覗くと食卓に座ってミカンを食べていた。夜食にイナリ寿司1つと巻き寿司1つ食べたのだが、何か口寂しかったのだろうか。過食とまではいかないが、ちょこちょこ何かを食べたい様子である。認知症の症状に、食べた直後に「お腹すいた、何も食べていない」と訴えるというのがあるらしいが、ばあ様のはそれとも違う感じである。本人も「ずっと一人で好き勝手に食べとったし」と言い、これは癖になっているのかもしれない。今日はもう放っておいた。気にしすぎなのよね、あたし。
明日Pが来るので、アパートに帰る予定である。夜間のばあ様のことも両親のことも心配である。でもあたしがいたって転倒させるし、いないほうがいいのかもしれない。夜、ばあ様が寝る前の数時間だけ手伝いに実家に来るつもりである。今まで私がずっと実家にいたことにばあ様が慣れてしまっているのが心配といえば心配である。ただ、出かけていて夜はじめて顔を出すと、「アパート帰っとったん?」と私の家は別にあることは理解している。単に実家に泊まっているだけと思っているのだろうか。
Pも手伝いたいと言ってくれているが、寝る前はお湯を使ったり、着替えたりの手伝いになるのでちと無理である。以前会ってはいるものの、お互い顔は覚えてはおるまい。ばあ様は、「フィンランド」と言えばPのことをうっすら思い出すようではある。今回は、じっくり話をして記憶にとどめてもらいたい。見ものだわ。ちょと不安。