ばあ様の上の歯は入れ歯である。下の歯は割と残っているのだが、先日、一本ぐらぐらしてきて痛いと言い始めた。それまでレンコンの天ぷらだって、金平ごぼうだって食べていたのだが、いつから痛くなっていたのかは不明。看護スタッフにその旨を伝えたところ、食べ物を小さく切って出してくれることになった。
そして今日、晩御飯の頃に病院へ行ってみると、見事に小さく刻まれ、原形をとどめていないおかずがトレイにのっていた。ばあ様はいぶかしげにお皿を見つめ、「このどろどろしたものは何」と一言。私もここまで徹底的にしてくれるとは思っていなかったので、笑ってしまった。
元カボチャの天ぷらをつつきながら、「これ、べたべた」とばあ様。「文句言わない。手間かけてくれたんだから」と私。「そうよね。これだけきざもう思うてみんさい。相当手間よ」とばあ様。さりげなく皮肉。
デザートのオレンジまでつぶしてあった。トレイに置いてあったばあ様の名前が書いてあるカードを見ると、「軟菜」「きざみ」と書いてあった。軟らかいおかずをさらにきざんでくださったのか。素晴らしすぎる。
噛むことも脳には良いのではと思うので、これはさっさと歯を治すしかない。病院に来てくれる訪問歯科というサービスを提供している歯科医院もあるようなので、調べてみる必要がありそうだ。
まあ、今日は主治医が、私が付き添えば、歩行器を使ってトイレまで歩いてもいいと言っていたくらいなので、歯医者に行くことが出来るかもしれない。すごいな、ばあ様。