行ってきたわよ、プールへ。泳いだわよ、トータルで300メートルくらい。直後から体中痛いわよ。息すると腹筋まで痛い。体力無し。ビリーでつらいというのとはまた別。さすが水泳は全身運動。疲労
Pのsoon-to-be前の会社がある街のプールである。ヘルシンキから30分くらいのところ。アジア人に免疫はあるまい、と思っていたが、やっぱりない人が多かった。見る見る。私の完璧なプロポーションに見とれていたに違いない。
なかなか立派な施設で、水着の無料貸し出し(キャップはかぶらなくても良い。ここんとこ楽)、広いロッカールームとシャワールーム、サウナ、プールも25メートルが一つ、子供用プール、飛び込み用プール、マッサージプール(っていうのか。滝みたいにドバババババと上から水が噴出してくるノズルが設置してあるプール)、ジャクージ、おまけに結構長くて急ならせん状の滑り台もある。使用料は6ユーロだったかな。Pがチケットで払ってくれたので確認しそこねた。
25メートルプールでは、真剣に泳ぎたい人は真ん中の二つのレーン、左右端の4つのレーンは、それぞれ2つの大きいレーンとして使用し、そこをループでゆっくり泳ぐ。深さは1.2Mから1.4M。足が届くと思うと、泳ぎが大いに不安な私は多少安心する。高校時代のプールは、一番深いところが9フィートだった(2メートル74センチ)。そこをさっさと泳ぎきるのに毎回必死であった。水の中ではパニックになりやすい私。高校時代の水泳のクラスの最終日には、本当にリラックスして泳げるようになって楽しいとさえ思ったくらいだが、続けなかったので今はまた顔をつけるのも怖い。つけてしまえばなんということはないんだろうが、つける勇気がない。
で、ホテルのプールと同じく顔を上げた平泳ぎ。25メートル泳げるんだろうか、と不安。他の人たちに迷惑をかけたくない。最初のラップでは、横でPが笑わすので、力が抜けて途中で立ってしまった。特に混んではいなかったし、皆さん、ゆっくり泳ぐのですぐ後ろに人がいなかったので良かった。
今度こそ泳ぎきろうと、次のラップでは25メートルがんばった。ぜーぜー。すぐに次のラップを泳ごうとするPに、「ちょっと休む」と言い、プールからあがる。もう休むのか、と泳ぎに慣れているPは驚く。少し休んでまたトライ。Pに平泳ぎのこつを教わるが、混乱して足と手の動きをどうしていいかわからなくなる。沈みかける。顔がつかるー、とパニックになりそうになり、くるっと回って背泳ぎに変更。ほっとする。
この泳ぎ方に名前があるのかどうかわからないが、平泳ぎをひっくり返した感じの泳ぎ。高校で習った。これが一番楽である。25メートル泳いでも全然ぜーぜーしない。Pは、そんな泳ぎ方知らんぞ、と言うが、同じレーンにいた女性もやっていた。「ほら、彼女もやってるじゃん」と言うと、Kayのを真似してるんだろうと言う。そりゃまあ、オリンピックでやってる人は見ないけどさ。
しかし皆さんよく泳ぐ。だが、泳ぐことが体型維持につながっている人は少ない。午後3時くらいだったから、利用者の年齢層は高い。ほとんどの人が、温かそうな体型をしている。そして全然気にしていない。サウナ文化があるため、大体裸ということをなんとも思わない人たちだなとは常々思っていた。ロッカールームでも、そのままうろうろする。相手が恥らわなければ、こっちも恥ずかしくない。楽である。
3時半になると、アクアビクスのクラスが始まった。参加者多し。若いインストラクターの女性が音楽に合わせて、楽しげに動いている。水の中でやったらいい運動だろう。中にはシャワーキャップをかぶっている女性もいる。"In Finland, you are allowed to be yourself."とP。人の目は気にしないのである。でも悪いが、シャワーキャップでアクアビクスというのは、あまりにunexpectedで笑ってしまった。
しばらく泳いだ後、「締めは滑り台だ」とP。そんなの子供がやるんでしょ、と言うが、子供用のは別にあるという。確かに、短い滑り台が子供用プールについている。大きい方は、大人も十分楽しめる長さと高さらしい。大人だから子供がするようなことはしたくない、という言い訳はできないわけである。怖いのだ、こういうの。いやだいやだ、とごねたが、結局階段を上った。私にとっては死刑台への階段のようだった。それがまた本当に結構高い。ええ、まだ頂上じゃないの?と言うくらい。私の後ろには中学生くらいの女の子がおり、いまさら階段を下りることもできない。やっと頂上にたどりついて外を見ると、町全体が見渡せる。高いです。先にいけ、いやだ、Pが先にいけ、とやっていたが、女の子が待っているので、「あなたが先にどうぞ」と彼女に先に滑ってもらう。彼女は思いっきり勢いをつけて、びゅーんと降りていった。プロだわ。自分が先に滑ると、私は階段で降りてくると思ったらしいPは(ばれていたか)、とにかく先に行けとうるさい。腹をくくった私はスタート位置に座り、握り棒を掴む。信号が青に変わり、GO。
きーーーーーーっ、ひーーーーーーーっ!!
螺旋状の滑り台を結構なスピードで滑り落ちる。長い。始終鼻をつまみ、最後のスプラッシュに備える。考えてみれば、ずっとつまんでいる必要はなかった。最後の数メートルだけチューブ状になっており、終わりが近いことがわかる。ちゃんと寝転がっておらず、上体を起こしすぎていたためか、派手なスプラッシュは起こらず、水の中につっこむこともなかった。地味なエンディング。着陸地点にタイマーもついており、何秒で滑れたかがわかるようになっている。動揺してチェックするのを忘れた。一度やってもうどういうものかわかったので、次回もできるだろう。する気でいるのか。
その後サウナへ。水着着用不可である。そういうのにはもう既に慣れてしまった。入ると一人女性がいた。しばらくすると何かフィンランド語で言われた。石に水をかけていいかと聞かれたんじゃないかなと推測できたので、それを英語で聞き返すと、笑顔でそうだと彼女はうなずいた。どうぞどうぞとこちらもジェスチャーで促す。少し沈黙があった後、この街で何をしているのだと英語で聞かれた。施設の駐車場を歩いているときから通りすがりの人にいちいち見られていたので、珍しいんだろうなあとは思っていた。彼女の言い方が、こんなところで何をしているのだ、という感じでおかしかった。決して感じが悪いわけではなく、単に興味があるという印象である。この街には泳ぎに来ただけだし、Pの会社が近くにあってなどと詳しい説明を相手も期待してはおるまいと、エスポーに住む彼と一緒に泳ぎにきたとだけ答えた。ほうほうと笑顔で頷いていた。「ライク ユー フィンランド?」と質問される。ここで私はなぜか質問に答えず、「Oh, I don't live in Finland. I live in Japan. I come here to visit my boyfriend」などと答える。馬鹿か。コミュニケーションがなりたっておらんではないか。水泳による疲労か。答えながら、「ああ、質問に答えてないな」と気づいてはいたが、口だけペラペラと動いていた。おー、I see、と女性。何かフィンランドについていいこと言わなきゃ、とうろたえている私は、「you have a nice swimming pool here」と一言。馬鹿か。でも彼女は笑顔でYesと頷いてくれた。会話術をもっと磨きます、私。っつーより、フィンランド語勉強しろってか。
しつけない全身運動のせいで、いつもは夜中にトイレに起きるのに、朝までがーっと寝た。続ければいいんだろうなあ。Pの家から歩いていける距離にもプールがあるらしい。だがここは、途中の深さが1.8メートルだとか。そう聞いただけでもう息が苦しい。Pは、毎日泳いで水に慣れれば問題ない、と何でもないことのように言う。確かにそうだろう。慣れてみたいもんだわ。We'll see.