シンデレラは今夜は舞踏会よ。

って、私はシンデレラとは違う。彼女は舞踏会に行きたくて仕方なかったが、私は別に家で本読んでてもいいと思うタイプだ。で、行ったら行ったで楽しいと思うタイプ。帰宅したら、「あのとき馬鹿なこと言ったな」と思い出して突然キャーッと叫んで頭をブンブン振り、「ああ言えば良かった、こう返せば良かった」と反省して眠れなくなるタイプ。

シンデレラは家の前からお城まで馬車に乗っていたが、もし寒冷地の冬場の舞踏会だったら、お城の階段をのぼるときには、ガラスの靴ではすべりまくって仕方あるまい。

やはりここは、魔法使いのおばあさんにスタッド付のブーツも出してもらい、会場まではブーツ、会場でガラスの靴に変身、ということにしてもらわないと、踊りに来たのにころんで骨折ったら大変だからね。魔法の靴だから、いちいちかがんでブーツを脱いでクロークに預ける必要もなく、気が付くとブーツがガラスの靴に変わっていた、という優雅な展開にしてもらって。

魔法の靴が欲しいわ。

寒冷地の冬場において、エレガンスは妥協せねばならないのだなと毎回おしゃれをして出かける度に思う。私は、ひとの家の玄関でもないのに、人前で靴を脱ぐことに抵抗を感じるのだ。皆さん、クロークの周りで、ドレス姿でブーツを脱いでハイヒールに履き替える。ドレスの裾をめくってブーツのジッパーをおろす。

初めてそういうパーティーに行ったとき、私はトイレに行って履き替えた。男性陣もいるクロークの周りで、べろんとドレスの裾をめくってストッキングの足先を出したくなかった。別に自分が特に上品な人間とは思わないし、むしろガサツだと思うことの方が多いが、「いやー、これは無理だわ」と思ったのである。

しかし、レストランなどでは、トイレとクロークが離れたところにある場合もあり、そういうときは仕方なくその場で履き替えるしかない。

今晩の会場はどうだろうか。そりゃ、大勢の女性が全員その場で靴を履きかえていたら、別に恥ずかしがらなくても一緒に脱げばいいではないかとも思うところではあるのだが、どうも自分の中の大切な何かが少しずつ無くなってしまうような気分になるのである。

って、大げさ。
でも、ちょっと本当。

最近は気温がプラスだったので、今晩も暖かいといいなと思っていたら、マイナス8度らしい。

地面は凍ること間違いないね。

ころばずに会場にたどりつけるか。中年アジア人女、がんばってくるわ。