亡くなったM先生のことを考えていて、私はとてつもなく冷たく無礼な態度を電話で取ったことを思い出した。それが彼と話をした最後だったような気がする。会って謝りたいが、それももうかなわない。

先生との関係を他人に説明するのは難しい。特別な友情とか、兄と妹とか、色々呼び方はあるかもしれない。人から非難されるような関係ではない。アメリカ的に仲良しであったので、日本の人への説明は特に難しい。

私は先生のことが大好きで、大学に入ってからもときどき電話で話をして彼の優しさに甘えていた。それなのに、あるとき彼が何かに落ち込んで電話をしてきたとき、私は戸惑ってしまった。今までの関係が変わってしまいそうになるようなことを言われ、それが怖くなり、冷たい態度を取った。怖かったと同時に私は腹を立てていた。

その気持ちを素直に話せばよかったが、21歳の私は子供過ぎた。混乱していた。そして、それっきりになった。

あのとき、彼はなんであんなに落ち込んでいたのだろう。理由は話してくれなかった。

当時の彼より年上になった45歳の今の私から見ると、M君、M君、21の小娘相手に重すぎないかいと注意したい。今の私ならゆっくり話を聞いてあげられるのに。

あーあ、死んじゃったか。