ばあ様の下着を買いに行く前に、念のため本人にどういうのが欲しいのかを確認した。
「薄い生地で3分か5分丈の下着が欲しいんでしょ?」
「私が?」
想定内の返事。
「3分か5分のがいいんでしょ?」
「夏の暑いときに長いのはイヤね。」
想定外の返事。
「え。あ、そう。」
「色々あるし、新しいのは買わんでええよ」

昨日は、人を部屋に呼びつけてまで、今持っている下着の文句を言っていたというのに。まあ、こんなものか。

ばあ様が言うような下着は、大型スーパーにありそうだと思い、行ったことのない郊外のモールに行ってみることにした。知らない町に行くというのは、新鮮である。モールがあるからそれなりに大きな駅なのかと思ったら、せまいプラットホームが一つしかないような小さい駅だった。なんだか非常にのどかな感じ。マンションや家は立ち並んでいるのにのどかな感じ。人があんまり歩いていないということもあるかもしれない。モールは駅からすぐのところにあった。広い。スーパーの衣料品売り場に行くと、店員は「いらっしゃいませ」とは感じ良く言うが、それ以上話しかけては来ない。いいわー。ソウルでぴったりついてこられて、さわったものを片っ端から即たたみ直されたことを思うと、この距離感が素晴らしく心地いい。

そして、あったわ、快適そうな下着。薄い生地で3分と5分丈。その他、高齢者用に大きなボタンのついた前開きのアンダーシャツ。ばあ様はかぶって着るシャツが嫌いである。長袖のは前開きのを持っているが、半袖は持っていない。やったわー、これこそ必要なもの、と半袖シャツも2枚購入。

支払った後、モール内をちょっとうろうろしてみた。ターゲットが若いというか、子供というか、ヤングファミリーというか、書店とスーパー以外は私は用はないなという感じだった。

帰宅し、ばあ様に買ってきたものを見せた。「なんでまたそんなにたくさん。お金を使っちゃだめよ」とこれまた想定内のリアクション。前開きのシャツこそ戦利品と思って渡したが、「生地が厚いね」と一言。パッケージに入った状態で売られていたので、生地の厚さまで確認できなかった。まあ、言われてみれば、他のシャツに比べると厚い。「じゃ、秋口に着ればいい」とは言っておいたが、秋口にはもう寒いと言って、長袖を着るに決まっている。難しいのぉ。

パンツはガーゼのような気持ちの良い生地で、「やわらかくていいね」と珍しくほめていた。

しかし、風呂上りにはいつもの下着に着替えていた。

まあいいや。