韓国からのPのフライトが午前11時前で、私のは午後2時。Pに合わせて朝6時半に空港へ一緒に行った。私のスーツケースは、無料で二つまでスーツケースをチェックインできるPに持って帰ってもらうという計画。私が利用したアシアナの最高許容重量は20キロで、Pが乗るフィンランド航空は23キロ。ゆえに韓国に行くときは、機内持ち込みのカートにもフィンランドに持っていきたいものを詰めた。スーツケース用のスケールで事前に測ってみたところ、スーツケースは19.7キロであった。福岡空港のカウンターでは、20.5キロと数字が出た。誤差はあるだろうとは思ったが、ここまであるとは。500グラムの超過については、何も言われなかった。
Pのスーツケースにもいくらか私のものを詰めて、それぞれのスーツケースが23キロ以内になるように、誤差も考慮しつつ、一生懸命パッキングした。仁川空港のフィンランド航空のカウンターでは、二つのスーツケースを同時に乗せるよう促され、合計45キロであった。あんなに必死に23キロ以内にしようとがんばったのに、合計しか見ないのか。おまけにあと1キロ余裕があったとは。

コーヒーを飲んだ後、Pはそろそろゲートに向かわねば、とセキュリティへ向かった。係員が立っているところの手前で話をしていたら、私の後ろを見たPが突然「はっ」という表情をし、「I gotta go before those guys come.」と言った。振り向いたら、おびただしい数の韓国のおじちゃんおばちゃんのツアーグループが二列に並んでこちらに向かっていた。慌ただしく去っていくPと別れを惜しむ間もなく、あまりの人の多さに笑ってしまった。
あっさりバイバイをした後、私は地下1階に行った。お風呂があると聞いていたので、そこでしばらく時間をつぶそうと思ったのだ。Spa On Airという、なかなかおしゃれなところである。宿泊もできるらしく、深夜や早朝のフライトを使う人にはとても便利そうである。マッサージも受けられるが、私はお風呂とサウナだけのコースで15,000ウォン(1043円)。ロッカーの鍵、フェースタオル二枚、Tシャツと短パンを貸してくれる。靴のロッカーがまずあり、その奥に女性用ロッカールームがある。女性が二人、お化粧をしていた。その他に利用者はいない様子でとても静か。お風呂の入口にいくと、清掃中の札がかかっており、中で黒いビキニらしきものを来た小太りのおばちゃんが掃除をしていた。濡れるとはいえ、そういう恰好で掃除をしているというのが笑えた。掃除が終わるまで待った方がいいのかと思い、男女ともに使うラウンジをのぞいてみた。照明を落とした広い空間で、長椅子に寝っころがってテレビを見ている人、寝ている人が数人いた。発着便を確認できるモニターもある。テレビがついているので、あんまり休めないなあと思いながら、ロッカールームに戻った。
まだ清掃中の札はかかっていたが、中は広いのに掃除のおばちゃんは一人しかおらず、なかなか終わりそうになかったので入ることにした。立派なシャワーには、固形石鹸、リンスインシャンプー、ボディソープがついている。スチームサウナは、視界不良なくらい蒸気でもうもうとしていた。ドライサウナは70度くらいに設定されていた。ビキニのおばちゃんに英語とジェスチャーで使ってもいいかと聞いてみたら、OKと頷いたので、シャワーとサウナをまず使った。滞在していたレジデンスのバスルームが不満だったので、2週間ぶりに一定の温度のお湯でゆっくりシャワーを浴びれて嬉しかった。その後、41度のジェットバスに入った。広い空間に私一人という贅沢。難を言うと、なんかにおいがした。こんなところでニンニクのにおいがするわけないし、と思ったのだが、独特のにおいが漂っていた。
ロッカールームに戻ると、さっきまでいた女性二人はもういなかった。彼女たちが使ったのであろうタオルや、綿棒、コットンなどが散乱していた。せっかく高級感のあるスパなのに、利用者のマナーがこれだとげんなりする。
髪を乾かしていたら、頭にタオルを巻いたスッポンポンのおばちゃんが鏡の前に来た。掃除のおばちゃんである。そうか、掃除の後にシャワーを浴びたのか。それもありなのか、おもしろすぎると思いつつ髪を乾かし続けていたら、おばちゃんは黒いパンツを履き始めた。あれはビキニではなく、下着だったのか。おばちゃん、おしゃれ。
身なりを整えた後は、ラウンジは利用せずにスパを出た。1時間強くらいの利用時間。さっぱりできて良かった。空港で時間に余裕がある人にはおすすめ。