ばあ様の背中の帯状疱疹後神経痛は続いている。

去年の11月に発症した帯状疱疹そのものは、きれいに跡形もなく治っている。しかし、あたかも何か皮膚に異常があるかのようにピリピリ痛いそうだ。それは帯状疱疹ができた後の神経痛なのだ、高齢者に起こりやすいらしい、と説明すると、そのときは納得するのだが、すぐに忘れる。毎日この会話をしている。

ただ、痛がるのは朝と夜のみで、昼間は一切そのことに触れないらしい。おまけに訪問看護師や鍼灸師には、「どこも悪いとこはなく、すこぶる元気です」などと言うのだと母。まあ、実際元気である。

帯状疱疹がまだあった頃には、医者からもらったそれ用の薬を塗っていたのだが、治ってからも塗りたがるので、保湿剤を薬だと偽って塗っている。塗れば安心していたのだ。

しかし、疱疹が治り、神経痛だけ残ってしまった今は、塗ると触るからかなのか、痛がる。しばらくすると治まるようで、何も言わなくなる。

帯状疱疹後神経痛用の飲み薬も漢方にあるとこの間テレビで見たが、飲み薬を服用するほど痛みではないと本人も言う。

よく皮膚科でもらう青い蓋の容器に保湿剤を入れて渡しているのだが、2日も経つともうなくなっている。ばあ様、塗ったくっているのである。以前は父が塗ってやっていたのだが、一ヶ月前くらいから、自分で塗り始めた。おかげで背中のお肌はすべすべである。

こちらとしては、安心すると思って、薬だと嘘をついているわけだが、塗った後に痛そうにするのを見ると、こりゃー、塗るのを習慣にしたのは失敗だったかと悪く思う。「もう触らずにおけば」と言っても、絶対塗りたがる。うーん、ごめんよ。