重力には逆らえない。33歳くらいのときだったか、「口角が下がってきて、おばさん顔になってきた」と知り合いと嘆いたことがある。「一人でいるときも微笑むようにしてるのよ」と言うと、「なんか怖い〜」と笑われた。
じーっと一人で家にいることが大半であった私は、人と話さない。そうすると口の周りの筋肉が衰える。たまに「これはまずい」と本を音読したりしてみたものの、すぐに忘れていた。表情筋の運動というのもやっていたことがあるが、これも習慣にする前にやめてしまった。
当然のことながら、四十路も半ばになれば、運動をしていないとそこここの肉がダラリンとゆるむ。33歳の頃の比ではない。私が知らない間にPが撮った写真を見て、「ひえー、削除削除!」と叫ぶほど、私の口角は下がっていた。「笑えばいいのに、むすっとしているからだ」とPは言うが、ぼーっとカフェから外を見ているときにいちいち微笑まないよ、あたしは。
あごのラインもタルタルになっている。とにかく、全体的にシャープさがないのだ。あごのラインは、顔を上に向けて、舌を突き出して10数えるというのを何回かするといいとどこかで読んだので、シャワー後、髪をドライヤーで乾かすときにすることにした。必ず毎日する作業時にこういう運動は取り入れないと、絶対に忘れてしまう。
とにかく顔の筋肉を使わねば、と今日は音読をしてみた。どうせ読むなら美しい文章の本がいいわけだが、今読みかけているのは、Pが読み終えた桐野夏生のOUTである。主婦の不満を感情込めて読んでいる。

Out: A Thriller (Vintage International)

Out: A Thriller (Vintage International)

もっと明るい本の方が口角があがるかな。