忘年会という儀式をしないから、ずっとヤなことを引きずって生きているのでは、ということで、Pと忘年会をすることにした。忘年会の後は、きれいさっぱりすべてを忘れて、新しい人生が始まると思うこと、とPに言われた。ヤなことの中には、Pの言ったことしたことが含まれているから、Pは忘れさそうと必死なのである。
忘年会の場所を探すとき、さっぱりと和食がいいなあと思っていたのだが、行ってみたいと思った店は、分煙でも禁煙でもない。私にとっては大きな問題なので、外食を躊躇する要因になっている。
禁煙で検索したところ、ワインバーがいくつかあったので、その一つを予約した。食べ物が重くて胃に来るかなあと心配していたのだが、おいしかったし、ワインも上手に選んでくれて、大変楽しかった。一通り食べて飲んで気持ちよくなったPが調子に乗り、シャンパンをボトルで頼んでスタッフと他の客に振舞うということをし、さらに盛り上がった。そのお返しにとオーナーがまたシャンパンをくれて、このあたりから私の健康状態がおかしくなった。
40代も半ばになって、なんという愚かな飲み方だ。私は酔っても顔にあまり出ないので、Pも私があそこまで気持ち悪がっているとは全然気がつかなかったらしい。席につくと普通に話をするものだから、見た目はPよりもしらふっぽかったかもしれない。
おまけに、途中から会話に加わった知らない外国人女性客が実に不愉快な人で、さらに気分が悪くなった。遠距離恋愛の恋人にクリスマスに振られたとかで、おもしろくなかったのはわかるが、とにかくすべてに関して攻撃的で、ぎゃんぎゃんうるさい。おそらく彼女は自分のことが好きではなく、すべてにおいてビターであった。めんどくさい。私がトイレから帰ってきたら、なんか知らんがぷりぷりと怒りながらコートを着て、挨拶もせずに去っていった。連れの男性に、何かあったのかと聞いてみたら、「僕にはどうでもいいことです」と言って、食事をし続けていたのがおかしかった。
その後、Pはまた何かオーナーとお酒の話で盛り上がっていた。私は自分の胃にしか興味がなくなっていたので、話の内容は一切覚えていない。いい加減、Pも十二分に飲んだので、驚愕の額の支払いをし(普通に飲んで食べるなら決して高い店ではない)、オーナーににこやかに見送られながら、店を後にした。ふらふらになりながら帰宅し、私はトイレに直行。しばらく唸りながら引きこもった。情けない。
今朝はおかゆ。Pは二日酔いで頭痛がするらしいが、それでもイングリッシュマフィンと果物を食べていたし、元気だなあと思う。私は、胃以外はなんともない。晩御飯は、うどんにでもしておこう。
ということで、この忘年会そのものが、さらに忘れたい出来事の一つとなってしまった。おまけにブログになんて書くから、復習となってさらに記憶に刻まれてしまうという間抜けな展開になる。「忘れなければだめだ」とPが言うし、私だって忘れたいのだが、なんかもっと胃に優しい儀式が必要だわ。
今日の午後は、写真館で写真を撮ってもらう予約をしている。「Good luck smiling at the camera.」とP。馬鹿な飲み方をした四十路の思い出となろう。どんな顔になるやら。もう一回、胃薬を飲んでおこう。