数週間前にばあ様が帯状疱疹になった。患部はほんのちょこっと背中に水泡が出ている状態であった。帯状疱疹というのは、子供の頃に水疱瘡になったウイルスが神経に残っていて、免疫力が下がったときなどに発症するとか(All Aboutの説明)。帯状疱疹という病気は知っていたが、その原因は知らなかったわ。

水泡はもう枯れて、あともうちょっとで治るという段階なのだが、ばあ様は「ちりちり背中が痛い」と訴える。高齢者の場合は、痛みが長く残ることもあるらしいので、そこが心配であるが、激痛ということはないようだ。毎日父が患部に薬を塗ってガーゼを上から貼ってやっているのだが、そのときの会話は毎回同じである。
「あんたが子供の頃は、体が弱くてすぐ風邪引いたり、おできができたり、大変だった」とばあ様が言い、「それはどうもすみません。お世話かけました」と父が謝る。母99歳、息子80歳。
医者がデイサービスはしばらく休むようにと言っていたので、この2週間ほど行っていない。ゆえにばあ様は退屈している。そして、不機嫌である。帯状疱疹のことを覚えていることもあれば、すっかり忘れていることもある。今日のお昼には、背中がちりちり痛いと母に報告に行き、母が「もうだいぶ治ってるよ」と答えると、「今朝痛くなったのに、そんなすぐに治るわけない」と笑いながら自室に帰っていったらしい。
そして夜になり、私にも痛みを訴えるので、「治るまであともうちょっとよ」と言うと、私の顔をきっと見て言う。「あともうちょっとで治る? 痛いのは私なんだから、あんたが治る治らんを決めるのはおかしいでしょ」
むかつくー、このばーさん。こういう調子で不機嫌なのである。痛いと言っているのに、もう治るよ、と言われるのが本人にとってはイラつくことなのだろう。なんで痛いのかを忘れてるから。
今晩は、ガーゼをいつのまにか取ってしまっており、「あれ、ガーゼは?」と私が聞くと、「ガーゼなんかしてもらってません」とぴしゃりと返された。父に確認すると「夕方に貼ったぞ」とのこと。勝手に取ったらしい。
医者は、夜になると暇になるので、帯状疱疹を気にし始めて、痛みを訴え始める高齢者がよくいると説明していたとか。今晩のばあ様も「昼間はなんともなかったのに、さっき痛くなった」と言っていた。といっても、昼間の痛みは忘れているわけなんだが。
もうデイサービスに行ってもいいのだが、前回は行きたくないと拒否したらしい。またケアマネのNさんに来てもらって、出かけるように励ましてもらわないといけないだろうか。家族が行くように促しても、断りやすいし、励ますこっちも疲れる。介護は、プロに任した方がいいということはたくさんある。気分転換のためにもぜひ出かけて欲しい。