ばあ様の寒がりっぷりに頭が痛い。去年の夏の入院中もそうだったが、とにかく「寒かったらいけない」ということで、就寝時に着すぎ、毛布かけすぎなのである。昼間は夏らしい格好もするし、扇風機も使うのだが、就寝時となると厚着をさせまいとする私とバトルとなる。
熱中症になるよ!」と言っても「あんたも90過ぎたらわかる。若い人とおんなじ格好なんかしとられん」と返ってくる。しかし、夜中に汗をかいては、数回起きて着替えているのだ。「暑くて夜中に着替えたりして、ゆっくり寝られんでしょ」と言っても、「い〜え、着替えたりなんかせん」と即否定。「汗かいて起きたりするじゃん」「い〜え、汗なんかかかん」と間髪入れずに否定。こういうとき、頭の回転が速いというかなんというか、反応はものすごく早い。ときには、「暑けりゃ起きるよ」と可愛げのないことを言ったり、「年取るとぐっすり寝られんのだから、どうせ何べんも起きるんよ」とちゃんとしたことを言ったりする。
パジャマの下にも絶対に下着を着たがる。今日は長袖の下着を着ようとしていたので、「わー、やめて。お願いだから半袖の下着にして」「だって寒い」「寒いわけない!今7月よ!この部屋30度よ!」「えー、30度?」と目を丸くするが、10秒後には同じ会話である。長袖の下着のひっぱりあっこしたよ、もう。(ばあ様は笑っとったが、あたしは本気だったよ。)
パジャマにしても、薄い生地の涼しげなものを出しておいてもまず着ない。「こんなの薄すぎる。もっと厚いのはないん?」とニット素材のものを好む(Tシャツ素材のやつ)。もちろん長袖。でも夜中に汗かいたときには、涼しいのに着替えている。最初からそれにしておいて欲しい。
シャワーを毎晩浴びるのだが(シャワーチェアーに座って一人で浴びる。浴室への出入りのときだけ、私が見守る)、浴びた後に「あー、暑い」とウチワでしばらくはパタパタ仰いでいるので、扇風機をつけてやると、「止めて。寒い」と嫌がる。なんでだよ。
そのくせ、汗が出ると言って、なかなかパジャマを着ようとしない。乾いたタオルで背中を乾布摩擦のようにゴシゴシ何度も拭く。とにかくシャワーを出てからパジャマを着るまでが長いので、私は水分補給をさせた後は部屋を出る。だって暑いんだもの。
この寒がりぶりは、認知症とは関係ないと言っていいと思う。昔からそうだもん。熱中症で亡くなる人のニュースが後を絶たないが、ばあ様にそう言っても、「熱中症になんかならん」とえらい自信である。両親と私は、「もう、しょうがない」と「自己責任でプリーズ」ととりあえずしたいようにさせている。こっそりばあ様の部屋のエアコンをつけておいたりもする。(部屋の戸は開けたまま。)
これからしばらくは、毎晩同じやり取りが続く。