TPOにもよるというのはわかってはいるが、やはり寒色系のアイシャドウや真っ赤な口紅よりも、自然な色合いの化粧の方がいいなと、Peopleの"What's her best look?"を見て思った。

すみません、肖像権無視。上記のリンクから拝借。

私が初めて手にしたメイク用品は、青いアイライナーである。1984年、Kay17歳の夏。って、大げさ。夏休みにアメリカから帰国したら、私の部屋にノンノが出していたメイクの仕方の雑誌とこのアイライナーが置いてあった。アメリカの高校生は化粧ばっちりの子が多いと手紙で書いたので、母が買っておいてくれたのである。ポイントメイクくらいはしてもいいと母も思ったのだろう。今、書きながら、口紅とアイシャドウも置いてあったような気がしてきた。記憶が曖昧。肌が弱かったので、かぶれるだろうとファンデーションには自分でも興味がなかった。
なんといっても80年代なので、青いライナーでも変じゃなかったのだろう。別に目の周り全部にぐるぐる引いていたわけではない。まあ、上手にかけていたかどうかは謎である。覚えてない。
一つ覚えているのが、デパートでのできごと。平日の昼間、特に目的もなくデパートの1階を一人で歩いていたところ、化粧品売り場に立っていたお姉さんに呼び止められた。きれいにアイメイクをしているのにファンデは塗らないのね、みたいなことを言われた。どぎまぎしながら「アトピーなので」と言ってすぐに去ろうとしたのだが、お姉さんは「いくつ?」と聞いてきた。適当にあしらうということが出来なかったまじめな私は、「17歳です」と正直に答えた。なぜか男の店員もそこにいたのだが、二人して「ええ?じゃ、高校生?」と驚いていた。平日の昼間にアイメイクした高校生がデパートにいるのは、当時居たあの町ではものすごく異常なことである。「学校どこ?」と聞かれが、別に「この不良!」と叱られる感じではなく、普通に聞かれた記憶がある。めんどくさい、答えたくない、と思いつつもばか正直な私は「アメリカの高校です」と答えた。「え〜!アメリカ!」とかなんとか、妙に興奮したお姉さんは、立ち去りかけている私の横に来て手をつないできたのであった。なんでだ。高校生に見えないとかなんとか言われたような気がするが、よく覚えていない。メイクをしてあげるから遊んでいかないかみたいなことも言われたが、何か買わされるに違いないと恐かったので、断ってそそくさと帰った。いやー、純粋だった私。
あ、もう一つ思い出した。次の年の夏休みに帰国した際、友達と映画館に行って、アメリカの高校の学生証を出しながら「高校生1枚」と言ったら、売り場のおばさんに「高校生がマニキュアなんかしてなんですかっ!」と怒鳴られた。今じゃ考えられないコンサバ・おせっかいぶりだ。まあ、あの町なら21世紀の今もこういうオバンはいるかもしれない。

ということで高校のときからメイク用品は少し持ってはいたが、日常的に化粧をしていたわけではない。そこまで興味がなかったんだろう。そういや、1時間目の授業でいつも隣に座っていたブロンドのケイトが遅刻ぎりぎりですっぴんで教室に入ってきたとき、「転校生かな」と思ってしまったくらい誰かわからなかったことがあった。睫毛の色も薄いので、いつも黒いマスカラで濃くしていたわけか〜、とマスカラの役割を改めて納得した出来事であった。