ばあ様の耳が遠いことは、ある意味blessingという場合もある。嫌なことが聞こえないからね。今日、同室の中村さんが看護師に何かお願いをしたところ、看護師は眉間に皺を寄せ、「あとでくるからっ!」と声を荒げてそのまま出て行った。ああ、見たくなかった、聞きたくなかった。お忙しくて大変なのね、と同情する気にもなれなかった。
今日は、ちょうど私が到着したとき、夕食を配ったところであった。部屋に足を踏み入れたときにカーテン越しにばあ様が、「あら、どうしよう。箸がないわ」と言っているのが聞こえた。この病院では、箸は食事についておらず、各自で用意することになっている。ばあ様はベッドから動けないので、看護師にすべてお願いしているわけだが、今日の担当の人は気づかずそのまま行ってしまったようだ。おまけにナースコールのボタンはばあ様の背中側の壁にかかったままになっており、手が届かない。(ただ、ばあ様がコールボタンを使いこなせるかどうかは別問題。)ちょうどいいタイミングで到着して良かった。
私が行くとばあ様は喜ぶのだが、中村さんがゆっくり休めないのではと心配である。今日のばあ様は混乱しており、今日は誰も来なかった、と言うが、母が来ているのを私は知っている。後で母と話をしたところ、Pが部屋に来たとばあ様が言っていたらしい。ひどいわ、P。うちには来てくれなかったよ。ま、どんな形であれ、Pのことを覚えていたというのは素晴らしい。
なんていうかね。I've seen better nurses and I've been to better hospitalsと感じて、今日は気分が悪い。母の話によると、昼間の担当看護師はよくしてくれているそうで、それはありがたいことである。ばあ様も難しいところがあるので、世話をするほうも大変だと思う。母は私に毎日行かなくていいと言う。中村さんが静かに休むためにも行かない方がいいかも、とも思ったりする。だが、今日のようなattentiveさに欠けたところに遭遇すると、私が出来ることはしたいと感じる。
明日は歯医者。がんばろ。