ばあ様は、腰が痛いと訴えつつ、床に這いつくばって拭き掃除をせっせとしていたらしい。母は、「本当に痛いのか、言ってるだけなのかわからない」と苦笑する。
私がばあ様の部屋に行き、編みかけのマフラーを棚から出すと、「もう根気がなくなったよ」と嘆くが、しばらくすると編み始める。編みながら、また満州時代の同じ話を延々と繰り返す。今日は、父が幼い頃の話が新しく出て、ちょっと可笑しかった。おとなしい男の子だったらしく、近所の子供を誘うときにも「君、遊ばないかい?」などと言っていたらしい。笑える。
寒い満州で、あったかいだろうとばあ様は息子のためにセーターを編んでいたのだが、父は「僕だけセーターで、みんなは学生服だ」と不満だったらしい。そしてセーターは風が通るので寒がっていた、という話を今まで5万回くらい聞いた気がする。
まあ、がんばってよ、ばあ様。