10数年前、アメリカの友人が日本に来た。大学時代のバイト先のスーパーバイザーだった彼女は、当時50になったくらいだったと思う。デパートで洋服が買いたいというので一緒に出かけた。彼女は、花や動物がカラフルに編みこまれたカーディガンなどが好きな人であった。私とはあまりに趣味が違うため、どの売り場に連れていけばいいのかわからなかったので、とりあえずミセスの洋服売り場へ行ってみた。
彼女が非常に興味を示したのは、やはりカラフルなカーディガンだった。凄まじくカラフルなやつ。おまけに5万円くらいする。「こ、これに5万ですか」と思ったのは顔には出さず、通訳に徹した。彼女は非常に気に入ったようで、違う柄のカーディガンを3枚買った。15万円也。ちーん。
Kayも何か買えばいいのに、と笑顔で言い、これが似合うんじゃない、と私に渡したのは、ブルドッグの顔が大きく中央に編みこまれたセーターだった。ひーっと思いつつも、とりあえず胸に当ててみせるサービス精神旺盛な私。彼女は、うんうん似合う、と頷き、嬉しそうであった。たとえこのセーターが10円でも買いたくないというのが本音なわけで、「今日は見るだけね〜」とごまかして売り場を後にしたのであった。
彼女とはその後もしばらく連絡を取り合っていたのだが、いつしか疎遠になってしまった。昨日のバレンタインが彼女の結婚記念日だったなとふと思い出し、同時にあのブルドッグ柄が頭から離れなくなって笑いが止まらないので記事にした。I can positively say that was THE ugliest sweater I ever saw.