以前、同窓会に行った母から聞いたのだが、同級生の女性(当時70代前半)が「思ってもいないことがつるつるっと口から出る」と言っていたらしい。2割くらいおもしろいと思ったが、8割は「こわ〜。無責任〜」と感じた。そして、「ああ、こういうことなのか」と同じようなことをする人を思い出して納得した。老化現象なのか、元々の性格なのか、性格と老化現象のコンビなのかは知らんが、明らかに真実とは異なることをまさに「つるつる」と話す女性(60代)を私は知っている。
最初に「あれ?」と思ったのは、10年ほど前、彼女が私に「友達が息子の嫁を探している」と電話をしてきたときであった。その息子とやらは、商事会社にお勤めで、海外赴任が決まっているとか。そもそもこういう話には一切興味がなかった私であるし、この場合、「息子の母」が嫁を探しているという時点で、たとえ私が結婚したくて仕方がなかったとしても、断っていただろう。その女性は、「あなたはアメリカに留学していたし、海外赴任についていくのも抵抗がないと思って」と言う。その海外赴任先は灼熱の地で、紫外線アレルギーの私は旅行でも一生行くことはないだろうと思う。そして第一、私がその電話を受けている間、当時の彼がうちのソファに座ってビールを飲んでいた。私は恋愛関係というのは当事者同士の話だと思っているので、わざわざ人に伝えるということは昔からしない。聞かれれば言うが、自分からは特に報告もしなければ発表もしない。ゆえにこの女性も私が付き合っている人がいることを知らず、「あなた、彼氏いない歴何年?」と聞いてきた。その言い方にむっときたので、「間に合ってます」とだけ答えておいた。自分の持っている情報だけがその人のすべてと思うなかれ。この商社マンとの見合いが私にとっていい話と信じきって電話をしてきたらしい彼女は、「うちの娘も昔から彼のこと知ってるけど、嫁を探してるって話をしたら、今の旦那と別れて結婚したいくらいだって言ってたわよ」という捨て台詞を残して電話を切った。
そして後日、私はその娘と話をする機会があった。まさか彼女の母親が言ったとおりのことを繰り返して伝える気はなかったが、「嫁急募とか言って電話もらったよ。知り合いのいい男なんだって?」という角度から言うと、「何の話?」と驚きの返答。昔から知っていることは事実らしかったが、その彼が結婚相手を探していることなど知らなかったらしい。は〜。
そして去年、この女性の家を訪問したときのこと。フィンランドに行く理由はそれ以前に聞かれて「彼氏に会うため」と正直に教えている。日本にPが来たらぜひ会いたい、うちに泊まればいい、とものすごい興味を持っている彼女。このときもまた「今度は二人で遊びに来い」と招待を受けた。私の反応も待たず、直後、彼女は別の部屋にいた彼女の夫に向かって「今度フィンランドの彼氏連れて泊まりに来るって!」と報告し、私は目を丸くした。そんなことひとっことも言ってない。
いや、この人基本的にはいい人なのよ。だが、早とちりとか、この「つるつる」話とか、「えええぇっ」ということが結構あるので、てきとーに付き合わないと疲れるのである。恐いよ、つるつる話。