私がフィンランドにいる間に、大家さんが亡くなっていた。

昨日、お土産のチョコレートを渡そうと伺ったのだが、お留守だったので紙袋ごとドアノブにかけておいた。これまで、お互い何か渡したいものがあるとき、留守のときにはこうしてきた。

夕方買い物から帰ってきたときにも紙袋がまだかかっていたので、旅行にでも出かけてるのかなと思った。夜またチェックしてかかっているようなら、一旦うちに持って帰ろうと考えていた。

夜10時くらいに電話が鳴った。大家さんの電話番号が表示されていたが、聞こえてきた声は男性だった。お土産のお礼をおっしゃったのだが、私は何か嫌な予感がしてしどろもどろであった。男性は、まだ起きていらっしゃるならお話したいことがあるので、そちらへ伺ってもいいか、と聞く。了承すると、すぐに玄関チャイムがなった。

男性は長男だと自己紹介され、母は心臓発作で突然亡くなったのだと言う。急なことで、ご家族も驚いたと言う。

いつもフィンランドから帰国するたびにチョコレートを差し上げると、チョコレートが大好物なので嬉しいと電話をくださり、次の日には、「大したものはないけどおすそ分け」と取り寄せている食材などを袋一杯くださって恐縮した。お赤飯を作ったから少しいかがとか、手作りのものもいただいたり、田舎の親戚にもらったという新鮮な野菜を「少しで申し訳ないけど」と分けてくださったこともある。いつも良くしていただいた。

足を悪くしていらしたのだが、以前、偶然近所の道でお会いしたとき、リハビリに通ってだいぶよくなった、と杖をはずして嬉しそうに歩いてみせてくれていたのに。

70代半ばだったらしい。若々しかったので60代だと思っていた。

ショックである。長男さんが片付けのためにいらしているらしいので、あとで花を買って渡そう。