昨夜は、去年の6月にフィンランドに来たときに夕食をご馳走になったMさんとPさんカップル来訪。Pさんは去年の夏に男の子を出産している。それ以来育児で忙しく、全然お出かけしていなかったので、久しぶりに家を出られて嬉しいと言う。Pさんのお母さんがウキウキと子守りを引き受けてくれたそうだ。Everybody needs a break. この二人は結婚はしていない。事実婚が多いフィンランドでは、結婚せずに子供を持つのも特に珍しいことではないようである。
事前にアレルギーのものや食べられないものはないかと聞いていたのだが、海苔と刺身という返事だった。刺身はともかく、海苔がだめとなると巻き寿司も無理である。何か一品は日本っぽいものがあった方がいいだろうと、簡単な巻き寿司を前菜代わりに出そうと思っていたのに、ピンチである。まあ、海苔が苦手という西洋人はよくいると聞く。黒いし、食欲をそそる感じではないかもしれない。見た目だけの話なら裏巻き寿司をすればいいわけだが(成功したことないんだけどさ)、味とかアレルギーとかの理由だといけないので、薄焼き卵で巻いてみることにした。海苔と違って、巻き終わりがくっつかないので、ばらばらになる。ならば、巻かずに包んでやれ、と春巻きみたいにしてみた。卵が厚過ぎても薄過ぎても破れるので難しい。何度か挑戦して、なんとかできるようになった。中身はパプリカときゅうりのベジタリアン。練習したとき、アボカドを入れたらおいしかったのだが、昨日使おうと思って買っておいたアボカドは、妙に水っぽくてシャリシャリした食感で全然おいしくなかったのためゴミ箱行き。見た目でおいしいアボカドかどうかわかるコツはなんかあるのか。
大抵、外国の人は卵の薄さに驚いて喜んでくれる。今回も成功であった。色も黄色でかわいいし。Mさんは日本食に慣れていないので(お箸も全然使えない)、もしかしてちょっとチャレンジングだったかもしれないと観察していて思ったが、Pさんはおいしいと感心してくれた。
で、なぜに刺身と海苔がだめなのかと言うと、なんとPさんはまた妊娠したと言う。「予定日は9月なの。1歳の男の子と新生児なんて、どうなることやら」とshe rolled her eyesだが楽しそうである。お二人とも、まさかこんなに早く二人目ができるとは思っていなかったらしい。とっても大変そうではあるが、何はともあれおめでたい。刺身は慣れてないし、海苔はヨードのcontentsがunknownだから避けているらしい。日本の妊婦も海苔は食べないのかな。でも、海苔に限らず、日本には海藻類がたくさんあるではないか。ひじきとか体に良さそうな気もするが。
外国人相手に日本食(っぽいもの)を振舞うときは、肉類が無難であるとネットのどこかで読んだ。大体料理が得意ではない私は、ゲストが来るというと何を作ってよいかわからず、ものすっごくストレスになる。いざゲストが来てしまえば、楽しく過ごせるのだが、それまでの準備とストレスで他のことができなくなるくらい緊張する。今回も、一体メニューを何にすればいいのか、と自分でも作れそうなレシピを探しまくったわけである。で、チキンのハニーマスタード味にした。似たようなものを日本で何度か作ったことがある。マーマレード入れるやつ。甘辛くて好物なのだ。それを作ってもよかったのだが、冷蔵庫にマスタードがあったので、こっちにした。肉を焼いて、レシピ通りの調味料を合わせてあえれば良い。結果、好評で全部食べてくれた。蜂蜜とマスタードのコンビは始めてだったらしく、いたく気に入ってくれた。一安心。Pさん、レシピを所望。もうちょっと肉がやわらかくできるはずなんだけどなと思ったんだが、石のように硬いわけでもなかったので良しとする。
あとは色んなレタス類をちぎっただけのグリーンサラダに、デザートは適当にオレンジやメロンを切ってレモン風味の生クリームをこってりのせておしまい。ここには電動ミキサーがないので、生クリームを泡立てるのがちょっとしんどい。おまけに音がうるさい。キッチンがオープンなので、おとは筒抜けである。3人が話しているときにジャカジャカ賑やかなのもなんだな、とボウルをかかえてベッドルームへ。キッチンはちゃんとドアがついていて、テーブルから離れたところにあるのがいいなあ。MさんPさんちのはそうなっていた。彼女がそう設計するように頼んだらしい。一体型だと匂いも充満するしね。
ま、もっと事前に用意しておけるデザートにしておけばよかったのに、と言われればそれまでなんだが。巻き寿司とチキンが気になって、デザートは手抜きだったのよ。あたしの料理のキャパじゃここまでだ。
今回のゲストは二人だったが、当初は6人のはずだったのだ。それも私にちゃんと相談せず、Pが勝手に招待していた(ミスター衝動的。思いついたら行動。非常にしばしば我々の衝突の原因になっている)。「8人分の料理なんて作ったことないよっ!」と私は大騒ぎでPに抗議しまくった。食べ物は買ってくるから気にするなと言っていたPであるが、だからと言って私が何もしないと言うわけにもいかないではないか。どういう食べ物がいいか考えるのを手伝ってくれ、という言い方はするが、「Kayが決めてくれ」と言っているに等しい。腹立つ。どうすりゃいいんだ、と悩みまくっていたところ、仕事の関係で来れないと二人から連絡が入り、直前まで来るつもりだったTさん夫妻もTさんが突然出張せねばならなくなったので来れなくなり、結局MさんPさんの二人になった。4人分の食事ならまだなんとかなる、と「暗いトンネルの先に光が」状態の私であった。大げさな、と思われるだろうが、ほんっとにストレスだったのだ。
料理教室に行くべきか。