15歳の生徒に行った学力テストで、フィンランドの成績が世界一だったということで、世界中から教育関係者がフィンランドにやってきているらしい(英語新聞記事(ウェブ魚拓))。特に日本からの訪問者が多いとか。
15歳の子供達のことを直接知っているわけではないが、日本のように塾などに行って、いつも勉強しているという感じではない。Pだってそんなことはしたことはないと言う。っつーことは、学校の授業が充実しているとしか思えない。
小学5年生のMちゃんを見ていても、塾に行くようなプレッシャーもなく、学校でも陰湿で嫌な競争はなく、明るくのびのびと健やかに学んでいるという印象である。週末は大抵遊んでるし、なんつーか、子供らしい子供なのである。だからといって勉強をしていないわけでは決してなく、水曜日にフランス語のテストがあるからと言って、日曜日から勉強していることもあるし、算数や地学(「理科」ではなくて、生物、物理他に分かれているらしい)も得意らしい。一番好きな科目は、"theater"だと言っていた。芝居である。初めは恥ずかしくてイヤだったらしいが、楽しくなってきたらしい。他は"art"が好きだと言っていた。音楽のクラスはあるのかと聞いてみたら、あるけど歌ばっかり歌って退屈だと口を尖らせていた。6年生の音楽の授業ではギターを習うのだが、5年生では楽器はないのだと言う。弦楽器を学校で習えるっつーのもいいよね。
学校の視察といえば、アメリカの高校3年のときに日本からの視察団の案内をした経験があることを思い出した。日本から来た高校の先生達に学校の中を案内しろと教頭からおおせつかったのだ。
私は、皆さん英語の先生なんだと勘違いしていた。「圧倒されている」という表情の年配の男性教師が廊下の真ん中につったっていて、そこを通りたいメリケン生徒が"excuse me"と何度も言っているのにまったく動かないのを見て、英語がわかる人達ではないのだと気づいた。
授業中の風景を廊下から見るわけだが、化学の先生が私たちが外にいるのをガラス窓越しに見て、私に笑いかけて頷いたとき、ちょっとお調子者っぽい日本人男性教師が、「わー、写真撮りたいなあ、教室入ったりして」と入ろうとしたので、止めたことを覚えている。この人は人の話を最後まで聞かない人だったなあ。留学初年度で英語がままならない生徒は、歴史などの成績はA, B, Cなどの代わりに"S"とつけられることがあって・・・、と説明し始めたら、「ああ、スペシャルのSね」と言うので、「SatisfactoryのSです」と答えると「どういう意味、それ」と聞かれた。この人も英語の先生ではなかったらしい。
校内を案内した後、ホールでメリケン教師陣と視察団がお菓子を食べながら交流というのがあった。お菓子が食べたかったので当然私も参加したわけだが、なんちゃって通訳をしなくてはならなかったので、あまり食べられなかった。"What do you teach?"とメリケン教師が聞き、私がそれを訳し、日本人の先生が"English"と英語で答えたときにはどうしようかと思った。最近の英語の先生はどうなんだろう。私の中学校、日本の高校時代を振り返っても、英語が実際に話せた先生なんて、思いつくのは高校教師一人しかいない。大体、授業が日本語でされるというのが今となっては不思議である。ほとんどが教科書を延々と和訳する授業ばかりだった。アメリカでフランス語を習ったとき、初日の初め15分以降は全部いきなりフランス語で驚いた。英語に訳したりなんて一切なかったし。その結果、2年フランス語をやって、ある程度は話せてたもんな。以来全然使わないし勉強もしていないので、口が裂けても「フランス語、話せます」なんて言えんが。あーあ。
語学の勉強をしていない話といえば、昨夜、「タングステンで作ったアクセサリーがあるらしいけど、重いんだって」とPに言ったら、「それはそうだろう。君がもっとスウェーデン語を勉強していれば、タングステンが"tung sten"すなわち、"heavy stone"と言う意味のスウェーデン語だとわかっただろうに」と返された。くやし〜。そうだったのか。偉そうに「タングステンって重いんだよ、知ってた?」とスウェーデン語が母国語の男に言った私。