教会へメサイアを聞きに行った。母が合唱団に入っている。去年は前半しか聞かなかったが、今年は最後まで。とても良かった。ソプラノとテノールのソロの人がとても上手だった。ソプラノ歌手の声を聞くと私は「うー、キンキンと高音でうるさい」と思ってしまうことが多いのだが、今日の人はそれはそれは美しい声であった。音大の特待生で、その上飛び級をして大学院に進んだとプロフィールに書いてあった。納得である。テノールの人は東京在住で、ファイナルファンタジーなどのゲームソフトの歌なども歌っている人らしい。礼拝の後のお茶とお菓子の時間に他の歌手の人と談笑していらしたのだが、大きな声で笑ったとき、歌っているような立派な笑い声であった。
この教会のメサイアはPearl Harborの日である12月8日に毎年歌うことになっているらしい。今年はこのトラディションが始まってから60周年記念だそうだ。愚かな戦争を悔い、平和を祈る気持ちで始めたらしい。原爆の廃墟の中で行われたキャンドルサービスの写真を新聞で見たシカゴの高校音楽教師の女性が、クリスマスプレゼントとしてこの教会に30冊のメサイアの楽譜を送り、すぐに合唱団が組織されたのだそうだ。1947年以来、毎年歌われているらしい。こういう背景があったとは、全然知らなかった。クリスマスだけじゃなく、平和への思いをこめたメサイアなのね。心打たれたよ、あたし。
36年前、私はこの教会の幼稚園の年少組であった。で、休憩時間に礼拝堂を見渡していて、ふとその年の年長組の卒園式のことを思い出したのだ。私は合唱隊で、オルガンのすぐ隣に立っていたのだが、一つの賛美歌の歌詞を全然覚えておらず、歌わずにいたら、オルガンを弾いていた先生に「ちゃんと歌いなさいっ」と小声で叱られたのだ。なんで歌えなかったんだろう。よく覚えていないが、聞いたことの無い賛美歌だと思ったような気がする。練習に参加していなかったのかなあ。んなわけないとも思うんだが、謎。
メサイアが終わり、「献金をお願いします」と言われ、はたと困った。確か万札しかないはず。(一枚だけなんだけどさっ。)財布を見るとやっぱり一万円と小銭がちょろっとしかない。まずーい、どうしよう、献金ってのを忘れていたよ。周囲の人は千円札らしきものを財布から出している。困ったなー、と思いつつも、袋が回されてきたので300円「チャリリーン」と音をたてて入れておいた。後で母に言うと、「100円でよかったのに」と言う。そんなもんなんですかね。まあ、教会員でもないし、もっと言えばクリスチャンでもないんだけどさ。一応思い出の多い教会なんで、せめて300円をお受け取りくださいませ。とほほ。
そしてもっととほほと言えば、私の歌声である。最後に「きよしこの夜」を全員で歌ったのだが、もう情けないくらい声が弱い。息が続かない。音程がゆれる。アメリカの高校時代にソロをやっていたのは本当にあたしだったのかと愕然とするくらいである。声帯は衰えると実感。どうにかせにゃ。ヤマハ時代の声楽の本が押入れにあるはず。練習しよ。