ストックホルムのクルーズの続き。
具体的にストックホルムで何をしようと決めていたわけではない。PはGamla Stan(The Old City)を歩くのがいいかもなどと言っていて、特に私も異存はなかった。だが、ストックホルムが初めての私は、主要な観光スポットもちょっと見たいなという気持ちもある。Pは今まで何度も訪れているし、仕事で長期滞在までもしたことがあるが、観光と言うとやっぱり良く知らない、ということで、ならば観光バスに乗ろうということになった。
だが、Pが観光ボートが停泊しているのを見て、あっちにしようか、と提案。船から見るのもおもしろいと思い、了解。チケットを買うためにカウンターに並ぶが、係員のおじさんがえらくとろい。おまけに、「チケット買ったけど、やっぱりやめた」という乗客が出てきて、その人たちの払い戻しなどを始め、さらにとろさに拍車がかかる。だが忍耐の一言でじっと順番を待ち、やっとチケットを購入。二人で16ユーロ(だったと思う)。
他の乗客と一緒にボートまでの階段を下りていると、"Sorry, the boat is full."と若い係員が言いながら上ってきた。"When does the next boat leave?"と私が聞くと、"I don't know." ご存じない。じゃあ、お金返してもらおう、とあきれかえっているPとまたカウンターに戻り、返金してもらう。ボートとカウンター間で連絡取り合わずにチケットを売るって、なんつーか、非効率的じゃないでしょうか。Pが「若い係員がカウンターのおじさんに”なんで電話とらないんだよ”と文句を言っている」と言っていたので、どうやらおじさんがダメダメだったようだ。
気を取り直して、今度は観光バスへ。ターミナルを出たところに、二階建ての赤いCity Tourのバスが止まっていたので、とりあえずそれに乗車。どういうツアーなのかも知らずに乗ったといういいかげんな我々だったが、結局1.5時間のオーディオツアーということで、ちょうどよかった。25ユーロ。観光地で止まるわけではなく、すべて窓からスピード観光。案内は何ヶ国語かあった。日本語案内があるバスもあるようだったが、私の乗ったのにはなかった。
バスツアーの後、Gamla Stanまで10分ほど歩いて移動し、そのせまい路地や、お店を見てまわった。ここで食べたお昼のアボカドとえびのサラダもしょっぱかったー。

ちなみにこのレストランのウェイターは、Pにのみ挨拶し、話しかけるという徹底したゲイであった。(別にI have absolutely nothing against gay people. I just have a few things to say about rude people, that's all.) あれほど見た目も態度もわかりやすいのは、私も初めて見た。「he likes you」とPに言うと苦笑して、確かにKayの存在は無視って感じだ、と感想を述べていた。はい、まったく無視されてました、あたくし。
その後、さらにぶらぶらと付近を散歩し、アイスクリームスタンドでアイスを買って、強い日差しの中、ベンチに座って食べたりした。現地の皆さんは日に当たりたくて仕方ない様子で、肌を真っ赤にし、ゆでだこ状態の人がほとんどだった。さすがに赤ちゃんに直射日光はよくないという考えはあるのか、乳母車には日傘がついていた。こっそり撮影。
 
日に当たると疲れる。ということで、午後2時半くらいには、もう船に戻ろうということになった。Pと私は、ストックホルムに到着した日の夕方にフィンランドに戻るという往復プランを買っていたので、チェックインをする必要はなく、同じ部屋に戻ればいいだけである。
リアラインのターミナルまでのバスが止まるという場所(と言っても何のサインもなし)でしばし待つ。だが、バスは来ない。おかしいなあ、と地図を再確認したり、近くのツアーバスの停留所まで行ってそこの人に聞いてみたりしたが、待っている場所に間違いはないようであった。元いたところに戻ってみると、数人フィンランド人の男性が待っていた。Pと私が乗りたかったバスの時間はもうとっくに過ぎている。そのうち、さらにシリアラインの乗客らしき人たちがやってきた。やっぱりここでいいみたいだね、とPと話していると、シリアラインのロゴのついたバスがやっと来た。一緒に待っていた人たちと一緒に道路に近づくと、なんとそのバスは通り過ぎていってしまった。なんでだーっ。Pが他のフィンランド人男性になにやら聞いてみると、だいぶ前にターミナル行きのバスがここに止まっているのを見たので、ここで間違いはないと思う、とのことだった。わけわからん、別の停留所まで歩いていこうか、それともタクシーで行くか、とPと話したが、疲れてしまって動く気にもならない。そして乗りたかったバスの次の便の時間になってもバスは来ず、「もうここはバス停じゃないのでは」といいかげん他の移動手段を考えようとしたとき、バスが来たのだ。さっき通り過ぎたバスとは違う柄のバスであった。別の男性が、シリアラインのターミナルまでのバスでしょ、と確認すると、そうだと運転手が答える。通り過ぎたバスがなんだったのかは謎。一つ前の便が来なかったのも謎。うーん、日本の交通網のような正確なサービスは外国ではまったく期待していないが、いくらなんでもこれはありか。しかし、前の便が来なかったことに文句を言う人は一人もいない。さすがフィンランド人、控えめ。Pが言うには、一緒に待っていた男性の一人が、"Wake me up when the next bus passes."と仲間に言っていたらしい。達観している。イライラせず、冗談を言うこの余裕。素晴らしいぜ。
で、無事に船に戻った。ちと驚いたのだが、部屋の掃除はしてあったが、タオルは代えていなかった。ベッドメイキングや掃除そのものも、あんまりきちんとされてなかったし。ホテルとは違う。まあ、自分たちが使っていた部屋だからいいといえばいいんだが。
夕食はステーキレストランでPは牛肉、私は羊。おいしかった。その後、屋上のデッキに座ってしばし休憩。

小さいプールとか、エステをするようなスパもあるのだが、Pも私もそう興味が持てず、利用しなかった。プールは子供だらけで、落ち着かないという印象だった。
免税店で、Pはワインやお酒を数本買い、私はキシリトールのガムとチョコレートを買った。昔はもっとお酒が安かったらしく、大量に買っていく人が多くいたとか。でも今回のクルーズでも、箱買いの人を何人か見たよ。

部屋に戻り、夜11時くらいに見事な夕日を見た。水平線に沈む太陽なんて初めて見て興奮した。14枚くらい連続で写真を撮ったりして。
 
写真じゃいまひとつあの美しさが捕らえられてないなあ。この夕日を見られたのが、今回のクルーズで一番良かったかも。
翌朝9時にヘルシンキ到着。「なんだそれ」と思うこともちょこちょこあったが、all in allおもしろい体験だった。帰宅後は、二人とも疲れて昼寝した。