ストックホルムへのクルーズのことを書いておかないと忘れてしまう。
子供たちの夏休みも始まり、ヘルシンキのシリアラインのターミナルはもんのすごい人であった。チェックインをするために並ぶわけだが、一体何にそう手間取るのだ、というくらい列が進まない。私とPがおとなしく順番を待っていると、「P!」と手を差し伸べながら男性が近づいてきた。おー、Jじゃないか、と握手をしている二人。私も順番待ちのボーッとした顔から、よそいきの笑顔をスイッチオン。以前、同じ会社で働いていたらしい。二言三言二人はフィンランド語で何かを言っていたが、PがJさんに英語で私を紹介すると、Jさんはその後ずっとPとも英語で話してくれた。毎回のことながら、当然のように皆さんが英語で話してくれ、その語学力と配慮がありがたい。Jさんは家族連れでスウェーデンに休暇に行くらしかった。
その後、ずいぶんまた待ち、やっとチェックインをすませて船へ。シェンゲン条約を結んだ国々を行き来するのであれば、non-EUの私でもパスポートのチェックはない。最初に入る国と最後に出る国で、スタンプを押してもらうだけ(私の場合は両方ともフィンランド)。なんか変な感じよね、外国に行くのに誰にもパスポートを見せないなんて。見せろといわれれば当然見せなくてはならないので、携帯は必須よ。
さて、肝心の船である。シリアラインのシンフォニー。白い客船。12階建てでエレベータが三基。7階がメインフロアーで、吹き抜けとなっており、色々なお店やレストランがある。この吹き抜けスペースを船に作るというデザインは斬新らしい。おまけにそのスペースで、空中ブランコの見世物もあった。それなりに盛り上がっていた。
私とPの部屋は11階で、デラックスタイプ。本当はもうちょっと広いコモドアが良かったらしいのだが、すでに一杯で予約が取れなかったらしい。でも、デラックスでも十分だったよ。海側で落ち着いた部屋だった。
しかし、トイレがちょっと曲者であった。部屋に入ってすぐに私は使ったのだが、座ると足が床に届かない。40になって、足をぶらぶらさせることになるとは。そして流すと、ガガーッ、ゴボッとかなり大きな音で吸い込む。流した後、外からPが"Honey, are you still there?"と聞くくらいの大きい音であった。チワワくらいなら流れるかもしれない。
Pは学生の頃、夏場にこの船でバイトをしたことがあるらしい。その頃は、少なくとも夕食時にはきちんとした格好をしている人がほとんどだったらしいが、今はもう皆さんカジュアルである。「豪華客船」と謳ってはいるが、正直言って、このカジュアルさがあまりに凄まじくカジュアルで、エレガントさは激減であった。残念よね。乗船時などはともかく、船内のきちんとしたレストランにジャージはないだろう、ジャージは。やっぱり雰囲気を楽しみたいというところがあるじゃない、こういう非日常的な経験をするときは。私とPは決して正装していたわけではないが、スマートカジュアル程度におしゃれはしたさ。年齢の高いカップルなどは、女性はワンピース、男性はネクタイまでしてきちんとしていた。
夕食はBon Vivantというワインバーもあるレストランでとった。前菜はダックのワサビ入り白味噌ソース添え。どこでも日本食、流行ってるみたいね。おいしかった。メインは、シーフードラザニア。しょっぱかったー。フィンランドで食べる料理は塩辛いと思うことが多いが、これは特に。寒い地域の料理は塩辛いのが多いらしいね。日本の東北とかでも。
その後は「ダンスホール」で一杯飲んだ。ライブバンドである。「ずんちゃっずんちゃっ」のリズムの曲が多い。踊っているのは、ふざけている子供たちと、熟年カップルのみ。正直を言って、踊りたくなるような曲はなかった。Pが言うには、伝統的なフィンランドの曲が多かったらしい。なんていうか、素朴な雰囲気でした。
部屋へ戻り、就寝。午前4時ごろ、いきなり廊下で何か放送が始まり、驚いて起きた。オーランドの港に到着したお知らせだったらしい。びっくりしたよー、なんかあったのかと思って。
船はほとんどゆれはしないが、ときどきちょっと片方に引っ張られるような感じがある。実際、夜中にトイレのドアがキーッと音を立てて開いて目が覚めた。寝る前にはカチッとlatchしておくほうがいいかもね。
朝食は6階のMaxim(だったかな)でビュッフェ。いろんなものがあってお腹一杯。
午前9時にストックホルムに到着。
あ、ちょっと出かけねば。続きはまたいずれ。