日本のバスや電車では、次の停留所・駅はどこそこ、と放送が流れるが、これは親切なサービスだと思う。特に知らない路線に乗るときには役立つと思う。これまで海外で地下鉄やバスに乗ったが、大半の場合放送がなかったので、運転手に聞くか、その前の停留所・駅をしっかり覚えておいて、緊張しながら外を睨んで乗っていることが多かった。放送がある地下鉄にも乗ったことがあるが、何を言っているかよく聞き取れず、全然役に立たなかった。
こういう放送はいいのだが、それに加えて、運転手が次はどこそこと重ねて言うときがある。今放送したじゃないの、と、これはちょっと過剰サービスではと感じることが多い。もう随分前の話だが、ローカルニュースでこのことを取り上げていた。身近な話題を街頭インタビューも含めて伝えるというコーナーだったようなのだが、愚の骨頂とはこれか、というような内容であったのでよく覚えている。なぜか緊急性、緊張感を持たせるような音楽を流し、意味もなくインタビュアーの男性アナウンサーが走る。急ぐアナウンサーを地面近くから見上げるようなカメラのアングル。車内放送の話なのに。「運転手による放送を無くすのは不親切」という結論が先に出来ているような内容で、インタビューに答える人も「無いと困る」みたいなことしか言わない、というか、そういう答えのみ流している印象。なぜ無いと困るのかはよくわからない。最も私が理解に苦しんだのが、一人のお爺さんの答え。「私は、体を壊しとりますんで」 うーん、想像力を使って、耳が遠いから繰り返し放送をしてもらった方が助かるということなのか、と理解しようと努力してみたものの、やはり、なぜ「体を壊している」のが、「運転手にも次の駅名を繰り返し言って欲しい」という理由になるのか理解できなかった。「耳が遠いから」ならまだわかるのだが。
インタビューの様子を流した後、そのアナウンサーはスタジオで、お年寄りには親切なサービスを提供すべきである、とえらく深刻そうに言っていた。小学校の校内放送のプロジェクトのようだったよ。