PのSeatのメンテに付き合わされる。メンテというか、パーキングブレーキの修理。数ヶ月前、引っ張ったらワイヤーがぶちっと切れて(私も目撃した)、ブレーキが利かなくなっていたのをついに修理することにしたのであった。燃料タンクをはずさなきゃいけないので面倒だ、などと言ってのばしのばしにしていた。坂には絶対駐車できない状態であったわけである。平らなところでもタイヤの向きによっては、「動いてるよ」と指摘することもあった。チャレンジャーである。これを直さないと、車検に通らないからな、と言う。新しい車を買うと言ってみたり、やっぱりあと一冬は運転したいと言ったり、自分でメンテをずっとしてきて愛着があるSeatをなかなか手放す気にはならないらしい。
借りているガレージで私は座って刺繍とナンプレ。ときどき、工具を取ってくれ、と車の下に入り込んだPが言う。ワイヤーを通すプーリのサブアッシを外し、それを解体したいのだが錆ついていてボルトが全然外れない。ガンガン叩きまくっていたが、びくともしない。"Give it up! Who do you think you are? Don't you know I'm the king? I need some cooperation here!"とプーリに話しかけながら作業するP。危なすぎる。さんざんswearし、指を怪我しながら1時間近く格闘したところで、"YES!!"と叫ぶ。外れたらしい。そこまで錆ついてるんだから、もう無理なんじゃないの、と言おうと思っていたところであった。
一歩前進でめでたいのだが、しばらくして"Well, I pray what I just did is correct."とPがつぶやくのを私は聞き逃さなかった。もしこの修理がうまくいかなかったら、タクシーで帰らねばならないのか、と一抹の不安を抱きながらチクチクと刺繍を続けるあたし。
車の下からまたカラフルなswear wordsが聞こえる。そこまで大変な思いをして自分で修理しなくても、と思うが、したいんだろう。3時間半くらい作業をしたところで、「OK! パーキングブレーキ引いてみて」と借り出される。ジャッキとフォークリフトで上げた車に私は乗り込み、ブレーキを引く。おもーーーい。片手で引けないのだ。「こんな重いパーキングブレーキ初めてだ」と言うと、80年代のブレーキはそんなもんだ、と言う。No, I think it's just this car. 「pull, release」を繰り返し、後輪をガンガン叩いてさらに調整。何度も両手でブレーキを引っ張って、bicepsの運動になったわ。
ついでにブレーキペダルも踏んでみてくれ、と言われ、さらに調整。いやー、久々運転席に座りました。最後に運転したのは、18年前か・・・。
見事にパーキングブレーキは修理され、燃料タンクもちゃんとassembled backで、無事帰宅することができた。ケーブル代6ユーロ14セントで済んだぜ、と誇らしげであった。やっぱり、ここまで自分で全部メンテすると、手放しづらいのは容易に想像できる。まあ、自分でメンテできるような古い車なわけだが。87年って、あたしが免許取った年じゃん。ああ、あたしがペーパードライバー返上する(気になる)日は来るのか。あ、今年免許の更新だわ。またあのど田舎にある免許センターまで電車とバスを乗り継いでいかねばならぬ。皆さん、車で行くことが前提になってるからあんなところに移転したんだろうけどさ、あまりに遠すぎる。前のところは町の真ん中で歩いていけるくらい超便利だったのに。そういえば、Pが免許を始めて取ったときからずっと同じ免許証だと言うので驚いたのだった。5年毎に更新などというケチなことは言わないらしい。で、その免許証がパンツのポケットに入っていることを知らず洗濯してぼろぼろにしてしまったのはアタクシである(ラミネートされた紙切れだった)。この6月にクレジットカードタイプの新しい免許証を申請し、ついこの間もらっていた。発行に2ヶ月かかるっていうのはすごいな。これも2030 somethingまで有効らしい。いいなあ。日本も更新日にすぐに発行してくれなくてもいいから、もっと更新頻度を下げて欲しいわ。