秤

昨日の夕方、突然クッキーが焼きたくなった。しかし、ツールも材料も限られている。泡だて器もないし、秤もない。ベーキングパウダーもない。小麦粉、砂糖、卵、マーガリン、バニラパウダーはある。ならば、これらを単に混ぜて作ったろうじゃないの、と不安ながらもキッチンに立つ。秤の代わりにmeasuring cupでそれぞれの材料を計り(アメリカのレシピはカップ表示で、日本のレシピはほとんどグラム表示なのはなぜだろう)、泡だて器の代わりにspatulaでマーガリンを混ぜまくり、他の材料をぶちこんだ。生地をちぎって小さく丸めたものを並べ、フォークで押さえてオーブンへ。このオーブンの使い方もいまいち理解できておらず、しばらくじっと監視。温度設定ができるダイヤルに設定すると、ファンが起動して、15分焼いても全然焼き色がつかない。上側を焼くだけのマークにダイアルをあわせると、温度設定の表示部が1から3まで切り替わり、それぞれの数字が何を意味するかも不明。3にして様子を見ていると、みるみるうちに表面がキツネ色に変化。おお、焦げすぎ、と2に切り替え。適当に焼き色がついたところで、オーブンから取り出し、さます。見た目も味もごくごく普通のシュガークッキーである。textureはやわらかめ。ベーキングパウダーがあれば、もうちょっとふっくらできただろうが仕方ない。十分edibleであった。デザートのアイスクリームにひとつ添えて出したら、好評であった。

しかし、やはりちゃんとしたツールが欲しい、ベーキングパウダーも欲しい、と思い、買い物に行ってきた。普段、台所用品を買うお店は、バスで行くのは面倒なので(というか、バスでの行き方を調べるのが面倒だった)、デパートでいいわ、と思って、ヘルシンキへ。Stockmannへ行ってみるが、大したセレクションもないし、高いし、秤ときたら巨大なのしかない。ならば、と今まで買い物はしたことはないSokosへ。デパートなんだろうけど、なんとなくコンパクト。台所用品売り場へ行くと、Stockmannよりは安いものがある。泡だて器なんて、立派なのじゃなくていいのだ。そして見つけたかわいい秤。7.90ユーロ。500gまでしか計れないが、別にそれで十分。秤の部分は上の白い容器に収納可能。普段Pはこういうものを使わないだろうから、大きいものは買いたくなかったのでちょうどよかった。10年保証付。支払ったとき、店員さんが何か紙を一切れくれて何かフィンランド語で言っていたのだが、英語で聞き返すのも面倒だったので、なんでもいいやと適当ににやっと笑ってキートス、と言っておいた。5分後に、「もしやあれは保証書だったのか」とピンときて、家に帰ってからオンライン辞書で引いてみたら当たりだった。

バスセンターにあるスーパーで、ベーキングパウダーを買おうと寄ったのだが、もうこれが時間とったわー。大体、ベーキングパウダーをフィンランド語でなんというのか調べてこなかったんだもの。まずは、小麦粉が並んでいる棚を片っ端から見るのだが、それらしきものはない。コーンスターチらしきものがあるのはわかった。おかしいなあ、ないわけない、とぶらぶら歩き回っていたら、ベーキング用の棚があるではないか。レーズンやナッツなど製菓用品が揃っている。ここにならあるに違いない、と見てみるものの、似たような容器が並んでいてどれが求めているものかわからない。フィンランド語はまったく予想もつかない言葉であるが、スウェーデン語は英語に似たところがあるので、そっちを頼りに探すことにする(全部併記してある)。フィンランド語で「Leivinjauhe」と書いてある容器があり、手にとって見ると、その下に「Bakpulver」とある。こ、これはbaking powderにものすごく近いではないか。しかし、近いということで決めていいのか。しばらく容器を見つめていたが、見つめていたからといって何が変わるわけでもない。まあ、安いし、間違えてもいいわ、と思い、レジへ。夕方で混んでいたため、レジの人に質問してもし違ったら面倒なので、だまって購入(ああ、小心者)。
そして、帰宅して早速オンライン辞書でチェック。Yes, I was right! スウェーデンでもベーキングパウダーが買えるわ。

レーズンも買ったので、またクッキーでも焼こう。