土曜日だが、午前中オフィスで仕事をしなければならないとPが言い、いつのまにか私も一緒に行くことになっていた。水曜日にこちらに来てから、アパートからほとんど出ていないので、まあいいか、と、その森の中にある会社に一緒に行った。森というか、緑豊かなところにあって(って、どこでも緑豊かなんだが、フィンランドって)、その平屋の建物の玄関には、木の屋根なんてついてるし、初めて見たときは、「森の中のコッテージじゃん、これ!」と笑ったのであった。小人でも住んでそうだ、と思ったが、中に入れば、広いモダンなオフィスがあり、ハイテクの施設が隣接しており、「ここでエルフがナノテクノロジーの開発をしているのか」と、外観との差にまた笑ってしまった。
土曜日というのに、オフィスには二人働いている人がいた。フィンランドでは珍しいんじゃ、と思って後でPに言うと、その二人はとても働き者で、自分の仕事が重要であることをちゃんと認識し、努力して結果を出す人たちなのだとか。午後4時に帰宅する人が多いこの国では、なかなかいないらしいわ、そういう人は。まあ、4時に帰宅する権利はあるわけだけど、終わらせてあるべき仕事が終わってないのに帰られても困るというのも大いにあるだろう。
その働き者の一人はドイツ人だった。Pには英語で話しかけていた。その英語がメリケンぽかったので聞いてみたら、やはりカリフォルニアで勉強したらしい。ニコニコして感じのいい人だった。

Pが仕事をする間、隣の席で私はクロスステッチ。Mちゃんの誕生日が9月というので、こっちにいる間にすませてプレゼントにあげようと始めたもの。彼女の好きな馬のパターンに彼女の名前を入れようかと思っている。ハガキより少し大きいサイズなのだが、結構intricateなパターンで時間がかかる。それ、すっごい細かいよね、とPが言うので、「そうよ。来年は商品券をあげることにするわ」と答えておいた。帰るまでに済むのか。

今晩はこれからPの同僚のうちにおよばれ。フィンランドの人のお宅に行くのは初めてなので楽しみ。といっても、奥さんはロシア人とか。ザリガニを食べさせてくれるらしい。食べたことないので、これまた楽しみ。「ほとんど食べるところはないんだけど、この時期よく食べるんだ、ここじゃ」とのこと。デザートは、ぜひ五六あわせを食べさせたい、とまたPが張り切っているので(そんなにおもしろいのか、トコロテン)、残りの2つを持っていく。口に合うかどうかわからないので、2つでいいって言うから。他に買ったパイを持っていくことにした。ここであたしがささっと手作りのパイでも作れりゃかっこいいんだけどねえ。作ったこともあるし、作れないわけではないんだけど、sifterがないとか、秤がないとか、道具が揃ってないし、まあ、人様に食べさせるようなものを焼くにはちょっと技術が足りないし。それにまあ、ベーカーリーに行けば、いくらでもいろんな種類のおいしいお菓子売ってるしな。