Pの会社のMさんちでの夕食。食事は「レストランですか、ここは」というようなご馳走だった。奥さんのIさん、すごい。コニャックでmarinateしたというサーモン、ブリーニ、きゅうりの中をくりぬいてツナサラダを詰めたもの、キッシュ(今まで食べたキッシュで一番おいしかった。絶品)、ジャガイモや他の野菜をまぜたサラダ、そしてザリガニ。生きてましたから、ザリガニ。台所のシンクでうじゃうじゃ動いてんの。Mさん(我々が到着した時点ですでにご機嫌)、「ケイ!この熱湯にこの生きたザリガニを入れるのだ!」と言うのだが、大体触るのも怖い。勇気を出して掴んでみるものの、気持ち悪くて手を離してしまう。嫌いなのよ、触覚があるもの。「これがサイモンで、これがデボラで」とMさんはザリガニに名前をつけ始める。奥さん、「いいから早く入れろ」という感じで鍋の前に立っている。Mさん、掴んだザリガニを耳に近づけて、「なに?最後の言葉?」などとふざけている。フィンランド語で奥さんに何か言われ、おとなしく次々と鍋にザリガニを放り込み始める。「馬鹿なことしてないでさっさと入れなさい」とでも言われたか。
で、ザリガニって本当にほとんど食べるところはない。茹で上がったものは海老に似ているが、海老のようなぷりぷりした身がたくさんつまっているわけではない。ザリガニ用のナイフがあって、Pが食べ方を教えてくれた。殻を取るとき、ゆで汁が飛び散ってしまう。レストランではエプロンをつけるらしい。
ザリガニとくれば、ウォッカを飲むらしい。小さいグラスにフィンランディア。一口舐めると、ひー、きつい。2杯飲んでしまいました。その上、白ワインを次々ついでくれるので、久々にかなり大量に飲んでしまいました。
これからKayと二人でナイトクラブに行きたい、というIさんであったが(なんかものすごく気に入られた)、実はもう限界を通り越していたのでお断りしてタクシーに乗る。乗ってしばらくして、"I'm feeling sooo sick."とつぶやいたら、いきなりスーッと私の座った側の窓が開く。運転手さん、すみません。警戒しただろうなあ。汚すなよ、って。Pが、ちょっと早めに降りて家まで歩くか、と聞くので、うん、そうしよう、と私はさっさと降りる。ちゃんと「キートス」と運転手さんにお礼は言っておいた。じっと立っているのもつらいので、支払いを済ませているPを置いてすたすたと歩く。追いかけてきたPは、「全然顔色が変わらないから、そんなに酔ってるとはわからなかった」と言う。そうなのよ、いつもあたしはそう言われる。顔に出ない。でも実は死にそうな場合が多い。でもこんな気持ち悪くなったのは、5年ぶりくらいだった。馬鹿な飲み方をすることは二度とないだろうと5年前に思ったのだが、またしてしまった。もうしません。
帰宅してからは、Pに借りを作ったといっても過言ではないくらい、いたれりつくせりの世話をしてくれた。酔ったと言っても、正体がなくなってるわけではないので覚えている。バスルームでは一人にしろ、見てはならない、と私が騒いで追い出したのだが、その後、冷たい水をコップに持ってきてくれた。まだバスルームにこもり足りなかった私は、さらに便器を抱き続け、その後は床で寝てしまった。それがまた、床暖房がこの時期でもついていて気持ちいいのよ。
「わー、ここで寝ちゃだめだろう」とPが入ってきて、ちゃんと歯を磨いて化粧を落とせ、と私を後ろから抱えあげる。いやだ、ここで寝る、まだ気持ち悪い、とごねる私であったが、「だめ。ベッドルームで寝ろ」と厳しい。で、私は後ろから脇でPに支えられたまま、歯を磨き、ダブルクレンジングまでし、化粧水と乳液までちゃんとつけた。そのまま寝室までひきづられていき、枕元には水の入ったコップ、ペーパータオルおよびバケツという準備までしてもらい、おまけにちゃんとパジャマにまで着替えた。で、横になってすぐにpassed out。夜中何度も目が覚めて水を飲んだが、バケツを使う必要はなかった。
で、今朝は二日酔いもなく、いたって普通の私である。Pはというと、「Kayの世話に注意がいってたから気づかなかったが、I guess I was drunk, too, because I don't feel so well today.」とお休み中である。すみません。