「ふええ」で思い出した。新幹線で前の席に座っていた親子。男の子は3、4歳。お母さんは彼を叱り飛ばしている。大きな声ではないのだが、すぐ後ろに座っている私には全部聞こえる。どうも男の子がお弁当の中の好きなものしか食べなかったのを叱っているらしい。
「お母さんはちゃんと見てるんだからねっ。あんたが欲しいっていうから買ったのに全然食べてないじゃないっ。いい加減にしなさいよっ。我侭は許しませんからねっ。甘えるのもいい加減にしなさいっ」
これをしばらーく言い続けていた。いまだに赤の他人の私が話の内容を覚えているくらいの回数は同じことを繰り返していた。お母さん、ちょっとしつこい、と思っていたら、子供が「ふええ」と泣き始めた。すかさずお母さん、「電車の中で泣く子は降りてもらうよっ」
そしてますます泣く子供。「他の人に迷惑をかける子供は許さないよっ」と続ける母。降ろされては大変と思ったのか、子供は泣くのをやめ、すると母はまた食事について小言を言い出した。うんざり。「昨日だって食べてなかったでしょっ」というと、子供が「食べたもん」と小さい声で抗議。そこで母はボリュームをあげて「嘘ばっかりっ!」 子は泣きながら「嘘じゃないもん」とさらに抗議。しばらく母は、きーきーきーきーやっていた。
初めは子供の躾だったのに、途中から母のストレス発散になったと思ったのは私だけかしらん。