靴がない、といえば思い出す恥ずかしい思い出。大学に入ったばかりの頃、初対面の学生数人と話をしていたときのこと。その中に、ある国から幼い頃アメリカへ移住してきた男の子がいた。18歳になった彼は、英語も身のこなしもアメリカ生まれの人と変わらない。何の話をしていたのか忘れたが、彼が笑いながら、「俺なんてXX*1にいた頃は、靴がなくて裸足で歩いてたんだ」と言ったのを、私は冗談だと思って一緒に笑ったのだ。すると、その場にいた女の子が「I don't think he is joking」と困ったように私を見て言ったのだ。もう穴掘って入りたかったよ。困窮した生活をしている人が世界にはいるということは、知識としては知っていたし、お金が無い人たちを蔑むような思考回路は自分にはなかったと思うが、彼がつらい生活について笑いながら冗談っぽく語るのを、本当に冗談だと思って一緒に笑った私はただのバカではないか。
私は金持ちの家に育ったわけではないし、小金持ちのたくさんいたアメリカの高校時代は、みなの価値観についていけなくて疎外感を感じたり、失礼なことを言われたりもした(e.g. 校長:"Why aren't your parents coming to the graduation? Are they busy or is it for financial reasons?" うちの親は教員で、学期の途中で講義をほっぽりだすわけにはいかないんですっ, thank you so very much for your concern, you assholeという感じであった。Besides, my attitude back then was "what's so special about graduating from this damn school?"で、別に来てもらう必要はない、と親に伝えたのは私であった)。だが、高校の3年間、目にしたもの、耳にしたものが、そういう小金持ち、大金持ちワールドのものが圧倒的に多く、それに慣れてしまっていた私は、靴の無い生活をせざるをえない人たちというのは、結局自分には関係ないことで、まさか目の前にいる彼がそういう経験をしていたとは思いもしなかったのだ。なんというutterly naiveでアホだったのだろうと思う。真剣に恥ずかしかった。eye-opening experienceだったわ。

*1:国名を書くとその国出身の人が全員貧乏だとか、サンプル数1で一般論化してしまう人が世の中には実に多いことを過去に学んだので、不特定多数の人がくるこんなパブリックなところでは明記しない。