カラスというのは夜寝ないのか。昨夜はまだ夜も明けないうちから、にぎやかであった。カーカーと続けて鳴くというよりも、突然大きく「カーッ」と一声叫ぶやつがいて、こちらの目を覚ます始末であった。なんなの。
起こされた後、また寝ようと目を閉じていたとき、そういえば、小学校1年か2年の国語の教科書に「夜明けの運動会」とか「夜明けのカラス」とかそんな題名の話があったなあ、と思い出す。白いカラスと黒いカラスが森の中で運動会をするとかいう内容だった。多分。
宿題以外に毎日提出しなければならなかった自由勉強のノートに、その話を全部写した。なんという手抜き。書き終えた私は、何を考えたのか、句点を全部黒く塗りつぶす作業に取り掛かった。塗り終えたところで、父親が肩越しに覗き込み、「丸は塗らんでいい」と言った。怒っているわけではなく、笑っていた。私もえへへと笑ったが、直さずにそのまま次の日提出した。先生になにか言われたかどうかは覚えてない。でも五十丸はもらえなかったろうなあ。