肝臓の辺りを空気が通るときの激痛をご存知だろうか。ま、ガスなわけだが、これがもう脂汗の出る激痛なのである。横隔膜が動くとさらに痛いので、息も出来ない。右横腹に手を当てて体を二つ折りにし、空気がそこを通り過ぎるのをじっと待つだけである。もしこの姿を町中でやれば、「救急車呼びましょうか」と人々が声をかけるくらい、苦悩の表情を浮かべていると思う。
初めてこの痛みを経験したのは大学生のとき。ときどき横腹にdiscomfortを感じるなとは思っていたのだが、特に気にしてはいなかった。だが、ある日の夜中、横腹に激痛を感じて目が覚めた。痛む右側を手で押さえながら起き上がったが、息が出来ない。”What is this? Am I dying here?”と思いながら、細かく浅く息をしようと試みるが、とにかく痛くて脂汗が出る。しばらくじっとしていたら、嘘のように痛みが引いた。こりゃ石かなんかあるに違いない、と思い、また痛くなったらどうしようと不安を感じながらその晩は過ごした。
次の日、早速病院に行って症状を説明し、レントゲンを撮ってもらった。個別の診察室ではなく、大きな部屋の一角をカーテンだけで仕切ったスペースで待っていると、医者が写真を見ながらやってきた。その女は、”Well, the good news is you don’t have any stones.”と大きな声で言いながら、カーテンをシャッと閉めて椅子に座り、私の顔を見てさらに大声で言う。
But you have a lot of gas.
Yeah, maybe you should say it louder to make sure everyone else in the room heard that. 
結局、ガスがお腹の中を巡るときに痙攣して痛いのだ、とかなんとかいう説明を受け、繊維のピルを採るように言われた。ちゃんと繊維質を食事から採っていればこういうことにはならないのだろうが、お粗末な食生活をしていたためだろう。DoritosとBen and Jerryを主食にしていてはだめなのだ。即薬局に行ってファイバーピルを買い、まじめに飲み続けたら、ちゃんと横腹の激痛は出なくなった。
なんでこんなことを書いているかと言うと、今日また横腹が痛いからなのだ。激痛ではないが、「あ、この痛みは例のやつ」といやな予感がしている。基本的には和食だし、そんなに変な食事をしているつもりはないのだが、どうも右側がキリキリと痛い。アイスクリームの食べすぎかもしれない。おほほ。