私は、ロンパールームでのおやつがミルク一杯だけなんておかしい、と思いながら育った世代だ。この番組で子供たちが遊んでいたおもちゃも持っていた。長い棒の先に馬の頭がついたギャロップ、紐のついたでっかいゴムボール、そしてフェルト地でできた平面着せ替えとでも呼べばいいのか、お天気坊やとお天気みどりちゃん。家にあったカゴを頭にのせて歌いながら歩いたりもした(歌詞は著作権の関係もあるし書かない。I take copyrights seriously.)。懐かし。

あのおやつのミルクを、すべての子供がものすごい勢いでゴクゴクと一気飲みするのが不可解であった。あんなに早く飲んで、お腹がゴロゴロしないのか。子供というのは、他の子供が食べているおやつがうらやましいものだが、このミルクをうらやましいと思ったことはただの一度もない。クッキー一枚でもついていたら違っていただろう。

うらやましかったのは、最後に好きなおもちゃがもらえるというピンポンパン。幼稚園バスの中のテレビでちょうどその終わりのシーンが流れていることが多かったのだが、大きな箱を両手で抱えて嬉しそうにしている子供たちが心底うらやましかった。だからといって、番組に出たいと思ったことは一度もない。私はああいう子供番組で、素人の子供が踊ったり歌ったりするのを見るだけでこっちが恥ずかしくなるというシャイな子供であった。楽しそうでいいな、などとは一度も思ったことが無い。ああ、私は出されなくてよかった、とシミジミ思うタイプのガキであった。

幼稚園の頃だったか、日曜日に「今日はくまのプーさんを見に行こう」と、母が私にコートを着せているシーンをビビッドに覚えているのだが、私は不安にかられ、「知らない人がいるところ?」と聞いたのであった。「映画館だからね。でもお話はしなくていいから」ということで、ちょっと安心して連れられていったのであった。そんな人嫌いの私。基本的には変わっていないかもしれない。