Extracted teeth, right

では、一般歯科での抜歯の話を。
衛生士さんはいつものAさんじゃなかった。かなり残念だったが、なかなかナイスなKさんという方だった。「今日はどの歯を抜きますか」と言うので、「上下2本一度にお願いできますか」と聞いてみた。「うーん」と悩み、「2本だと麻酔を上下に打つから大変ですよ」とすぐにOKがでない。「1本ずつ抜いた場合、抜歯と抜歯の間はどれくらいの期間をおいたらいいんでしょう」と聞いてみたら、1週間だという。じゃ、装置再装着までに1ヶ月かかるじゃんよー、と思い、「じゃ、2本でお願いします」ときっぱり断言。「ちょっとお待ちください」と席を立ち、戻ってくると「じゃあ、今日は右側を抜きますね」とOKが出た。院長に相談したのだろう。
まずは麻酔を打つ周辺をnumbさせる薬を塗ってくれた。しばらくしてジンジンしてきたなあと思った頃に院長登場。Kさんに「デンタルとっといてね」(レントゲン)と指示しながら、麻酔を手に持つ。これが恐いのよ。針の先から麻酔薬が玉状になって出ている状態。ドキドキしながら目を閉じる。しばしの沈黙の後、「大丈夫?」と先生が聞く。まったく何も感じない。頷いてしばらくすると、また「大丈夫?」と聞く。Wait a minute, doctor. I KNOW you are not doing anything to me yet. 針を刺せば、痛みじゃなくてもなんらかの衝撃を感じることを私は知っている。あれ、もう麻酔してたんだ、なーんだ、全然痛くないや、と、患者をだましてリラックスさせるんだろう。だまされたかった。案の定、いきなりぐぎっという痛みを感じる。うっと顔をしかめると、「ごめんよー、大丈夫?」と言いながら、針を刺す場所を徐々に変えていく先生。痛いので思いっきりしかめっ面をしてしまい、先生は笑いながら「よっしゃ終わり」と言って別の患者のところへ行ってしまった。The worst is overと思い、力を抜く。麻酔さえ効いていれば、抜歯なんぞ恐くはない。
その後、抜く歯の根元の状態をレントゲンに撮る。診療台の隣にあるパソコンにすぐ写真を出し(ビバ、テクノロジー)、Kさんが「根っこが真っ直ぐだからすぐ抜けると思いますよ」と説明してくれた。確かに上下とも見事にまっすぐ。上の抜歯する歯の隣は、少し根元がカーブしているので、あれだと少しやっかいだったかもとのこと。よかった、真っ直ぐで。抜歯途中で根が折れて大変だった、などという書き込みもネット上でときどき見る。「親知らずを抜くより簡単ですから」ということで、さらにリラックス。
麻酔が効くまでの間、歯磨きとフロスをしてくれた。かなり丁寧に1本ずつ2 roundsも磨いてくれてありがたい。麻酔が顔の右半分に効き始めており、ぐじゅぐじゅとうがいができない。筋肉のコントロールが思うようにできないというのは大変である。結局、Kさんがスプレーで流してくれた。
まもなく院長再登場。「はい、じゃ抜くよー」とまずは上から。立ったままでグイグイと歯を動かす。「痛くない?大丈夫?」を繰り返しながら先生は作業を続ける。なんだかちょっと痛い感じがしたので、「ひょっひょひはいへふ」(ちょっと痛いです)と訴えると、「ちょっと痛いのも痛いね」と笑いながら、麻酔追加。今度は針を刺しても全然痛くない。その後すぐに作業再開。かなりの力を加えて、うもれた釘をひっぱり出すように引っ張る。歯医者っていうのは力仕事だね。うー、なんかやっぱりちょっと痛いかな、と思っていたら、お!とついていきたくなるような痛さを一瞬感じ、「はい、抜けたよ」と院長。「へ?もう?!」と本気で驚いた。5分経ってないと思う。「次は下ね」と息をつく暇もなく次。同じく「大丈夫?」を繰り返しながら力を加える先生だが、いや、やっぱり痛いです。麻酔をまた追加し、しばらくグイグイ引っ張った後、「おっしゃー、抜けたー」と作業終了。「もうですか?!」とまた驚く。「抜いた歯、持って帰るなら洗ったげるよ」と言うので、じゃ、もらっとこうか、と「はい」と返事して声を出して笑ってしまった。あまりにも簡単に抜けたのでホッとしたのと、歯を持って帰ろうとする自分がおかしかったのだ。だってどうすんの、持って帰って。tooth fairyにあげてまた生えてきても困るし。まあ、ここ20年以上お世話になった歯とこのままpartするのも忍びない。記念だ。
先生は「一度に2本抜くのは僕は全然平気だけど、患者さんはなかなか大変だよね」とえらく楽しげに言って、私の肩をポポポンと叩き、「もう楽にしてね」と言って別の患者のところへ行ってしまった。You had fun, didn’t you, doctor? 何年か前に、奥のクロスバイトのせいで、噛むと下の歯が上に強く当たりすぎて痛くなったとき、「7番は全然かみあってなくて使ってないから、抜いてもかまわんけどね。なんぼでも抜くよー」と嬉々として言っていたので、抜歯好きの人なのだなとは思っていた。今日も上機嫌だったし、得意なんだろう。こんなに拍子抜けするほどあっけなく終わるとは、感動的ですらある。キンバリーの呪いはなかったようだ(昨日の日記参照)。
その後、Kさんが抜いた歯2本を洗浄し、滅菌した袋にそれぞれ密封してくれた。さすがにそのままの写真を載せるのははばかられるので、可愛くピンクにしたものを(画像)。本当に可愛いかはどうかは不明。Kさんが、「上の歯には2本根っこがありましたよー」と二股に分かれた歯根付きの上4番を見せてくれる。おー、見事じゃ。「けずるほどじゃないですが、すこーし虫歯になってましたね」と薄く茶色くなった部分を指差す(画像ではオレンジ)。隣の5番も少し虫歯になっているのだが、治療は必要ないらしい。下5番は銀の詰め物が入った治療歯。昔、この歯の詰め物を白いエステニアに変えてもらおうかと思ったことがあるが、お金かけておかなくてよかった。しかし、歯というのはこんなに長い歯根で、しっかり歯茎の中に位置しておるのだなあ。それを矯正で少しずつ動かすわけで、おもしろいよなあ、と改めて感心してしまった。
血が止まるまでガーゼを噛みながら、今日の歯磨きは何もつけずにしたほうがいい、などという注意事項を一通り聞いて説明の紙をもらい、血が止まったのを確認後、痛み止めと化膿止めの処方箋をもらった。麻酔がまだ効いており、顔が変。花粉症の人にまぎれてマスク着用。
処方箋薬局で避妊薬ではない薬をもらった後(ひっぱるなあ)、帰りにデパ地下に寄り、「やっぱり柔らかい食べ物と言えばプリンよね」と芸はないがモロゾフのプリンを買った。2本減ってもsweet toothに変わりはない。
食事はパンプキンスープにしたのだが、それだけでは足りなくて結局普通にご飯も食べてしまった。出血は多少あるが、これはexpected.大口開けて笑う気にはならないが、痛みも大したことないし、腫れもない。プリンはおいしゅうございました。
今日は消毒に行かねばならない。次回の抜歯は来週24日。また楽勝ならいいけど。

費用は、3,430円プラス薬代590円也。矯正用の処置なので計上する。
Cumulative total: 358,690円