広島市には、広島西飛行場というコミューター便用のちっちゃい飛行場がある。昔はここしか飛行場がなかったので、ここからジャンボ機で各地に行くことができたようだが、せまいし、なんといっても市内にあるので、利用者には超便利だが、近隣の住民にとっては大迷惑だったので(裁判もしてたんじゃないかな。多分)、10年前、これとは別の広島空港が熊の出そうな山奥に作られた。まあ、飛行場って土地がいるから町から離れたところになってしまうのはどこでもそうだが、アクセスに空港バスがメインってしょぼすぎ。市内からバスで約1時間と謳っているが、山にドライブに行ったような景色なので、なんだかすっごく遠くに来たような気がして疲れるのだ。私だけか。当初は、電車でいけるように新しく線路を作るだとかなんとか夢のようなことを行っていたと記憶しているが、結局何も出来ていない。

広島空港からは、アジア各地や、ハワイ、グアム行きなどのチャーター便は飛ぶが、北米便やヨーロッパ便はない。で、関空を利用することになる。西飛行場がコミューター便専用になったときは関空までの便もあり、大変便利であった。タクシー15分で空港に行き、一気に関空へ。国内線から国際線ターミナルへ移動すればもう終わり。便数は少なくて、空港に早く到着しすぎてしまうケースの方が多かったが、新幹線と空港行きの電車で3時間以上かけて行く手間を考えれば、多少待つことなどなんでもない。

だが、あるとき、予約の電話をかけたら、関空便はもう飛んでいないという。「えー?!」と真剣に驚いてしまった。電話のお姉さんも本当に申し訳なさそうに謝る。利用者が少なくて、元が取れなかったんだろうか。悲しすぎる。

それ以来、関空に行くには、新幹線・空港行き電車で行くことになった。スーツケースは事前に空港まで宅配で送ってしまうので、私が高校生のときのようにえっちらおっちらと駅の階段を大荷物かかえて降りる、などというような不便さはないが、やっぱり移動は疲れる。西飛行場からの便もどんどん減って、今は、新潟、宮崎、鹿児島便しかないようだ。

成田までだったら広島空港から飛んでいると聞いて調べたら、朝8時出発の1便だけ。朝8時前にあの山奥の空港に着くためには何時に家を出ればいいのだ。疲れる。

なぜこのような文句を言っているかというと、中部国際空港開港のニュースを見て、心底うらやましいと思ったから。西飛行場から名古屋までコミューター便が飛べば、そこから海外へ楽に行けるじゃないか、と一瞬喜んだのだが、そんな便はなかった。中国地方では、日本海側の米子と鳥取便しか飛んでいないのだ。名古屋くらいまでは新幹線で行けってことなのか。要するに、広島に住む私には、この新空港はまったく無関係ということなわけね。

あ、新大阪駅から関空までの電車の中でおもしろいことがあったのを思い出した。以前はこの電車は全席指定であったが、いつからか自由席も出来た。車掌が切符の確認に入ってきた際、別のお客さんが「自由席も出来たんですねえ」と話しかけると、この車掌は「はい、ですが、自由席は客層がちょっとね」と答えたのだ。お茶を噴出しそうになってしまった。きっと、自由席で何かトラブルがおきたばっかりとか、いやな目にあって腹が立っていたのではないかと思うが、「客層がちょっと」って別の客に言うか。貴重な体験であった。