食べたいですか

昔の丸いケーキにはバタークリームが使ってあって、それが非常に安い味だった。今は丸かろうが四角かろうが、おいしいケーキは山ほど売っているが、昔は見た目がふわふわとゴージャスでも、味はいまいちというものが結構出回っていたと思う。ものが無かったのか、作る技術がなかったのか、おいしいケーキはあってもバカ高かったのか。日本も豊かになったものよ。

私の在米経験からいうと、アメリカのパイは絶品だと思うが、ケーキとなると「勘弁してくれ」というものも少なくない。高校時代は寮生活だったので、夕食もみんなでとる。その週に誕生日がある生徒がいると、バースデーケーキを焼いてくれ、みんながHappy birthday to youと歌ってくれる。で、誕生日を迎える生徒がケーキを切って、みんなに分ける。そのケーキというのが、舌触りがざらざらで、すんごいビビッドな黄色とか赤とかの超甘いアイシングがこってりのっかっていて、スポンジの部分もぱっさぱさという悲しいものなのである。目にも舌にも強烈であった。料理人のセンスと腕が悪かったということもあるが、のちに在米経験のある日本人から同じようなコメントを聞くことが多かったので、私の環境が珍しかったというわけでもあるまい。

よく言えば、American cakes are funなのである。画像を見たまえ。このclash of colors.これを実際に売っているのである。特に子供用のケーキと言えば、カラフルにしておけば良いとでも思っているようなしろものが多く見られる。なんか画像がないかと探していたら、すんごいコレクションを見つけてしまった。子供の頃から美しい色合いのものを見せるということは大切なのではないか、と思うのだがいかがだろう。他にもこういうのとか、こういうのなどがあった。テーマを決めて、スポンジをキャンバスに絵を描くというアイディアは理解できるが、この2番目の「道路」っていうのはどうなの。おそろしいfrostingの色でひいてしまうが。

いや、美しいケーキもあるのだ。結婚式用ではあったが、きれいな色合いのアイシングで薔薇をかたどり、夢のような出来上がりのものも見たことがある。でも、普段食べるということで言えば、芸術的で繊細な見た目の上品なケーキというのは、日本の方が断然多いと思う。ま、値段も日本のほうが断然高いけど。

ところで、ジャン・ポール・エバンさん、NHKテレビのフランス語会話に出てらっしゃるのね。この間、ブッシュドノエル作ってた。