ばあ様、嫌味を言うの巻。

デイサービスに行く日の朝、7時半を過ぎても起きなかったばあ様。母がこっそり部屋に入り、日差しを入れるべく、カーテンを開けた。なかなか起きないときは、いつもそうしている。のそのそとばあ様が起きたのが8時近く。デイサービスの迎えは9時。普通の人であれば、1時間もあれば出かける準備はできるはずであるが、ばあ様の場合、着る物を決めるのに時間がかかることが多い。かといって、こちらが手伝おうとすると、ぴしゃりと断られる。「わたしがするから」と不機嫌になるのだ。無駄に不機嫌になられると面倒なので、基本、放置である。

ガタガタとタンスの引出しを開けては閉め、開けては閉める音が聞こえる。ちらっと部屋をのぞくと、冬服を山のように出している。何かを決める作業が難しくなるという症状もあるかと思い、「昼は暑くなるよー、このブラウスはどう?」などと声をかける。不機嫌な顔をしてブラウスを見るも、無視。薬も飲んでもらわねばならないし、迎えの時間は近づくし、ハラハラするが、飽くまでマイペースなばあ様。

しばらくして部屋に戻ってみると、ちゃんと着替えていたので一安心。ではそろそろ薬を、と戻ってみると、ズボンを脱いでウロウロしている。ばーさん、また着替えようとしている。「もうすぐ迎えが来るよ」と言うと、「朝もはよから(早くから)、ったく」とぶちぶち文句。超不機嫌である。

そうこうしているうちに迎えが来てしまった。「いらしたよー」と焦って言いに行くと、「えっ!(ちっという顔)待たせときゃいい!」と超無礼。玄関にいる職員には絶対聞こえていたはず。まあ、いろんな高齢者がいるから、想定内ではあるとは思うが、やはり気分は良くないだろう。

待たせとけと言いつつも、さっき履いていたズボンとは別のをスルンと履き、一応急ぐばあ様。動きは早い。いつも持っていくバッグを持ち、いそいそと部屋を出る。そして満面の笑みで、「んまー、お待たせしてしまって、オホホホ。」である。そして、一言。

「この辺りは、夜が明けるのが遅いものですから」
ババー、感じわるーい。

だったら自分で目覚ましかけてよ、と思うわけだが、そういうのはもう無理である。デイサービスの前夜に必ず「明日、デイサービスよ」「えぇ、明日?!」という毎回同じ会話をし、当日の朝、「今日、デイサービスよ」「えぇ!もっと早く言って欲しかったわ」と同じ会話をする。前夜に「明日着る服、出しといたら」と言っても、「出すほどないよ」とか、「いやいや、私がしたいようにします」と返される。距離の取り方が難しい。

その後、ばあ様は、ニコニコしながらデイサービスへ行ったとさ。