Magna Carta: 1215

高校での世界史のクラスで覚えたこの年号だけは、いまだに記憶に残っている。じゃあ、マグナ・カルタについて説明せよ、と言われたら、えーっと、あのときのイギリスの王様は確か・・・誰だったっけか、と目が遠くなる。(ジョンです。

大学に進み、興味本位で取った心理学の入門クラスで、どういう経緯だったか、教授がマグナカルタの年号はいつだったかと質問した。1215!とすぐに言いたかったのだが、大きな講堂での講義であり、1年生の1学期目にそんな大きな会場で発言する勇気はなく、だまっていた。そのとき先生は、1217年だと言い、え、違うと思います、え、そうだったかな、私の覚え間違いかな、と一人うろたえ、結局何も言わなかった。
その次の講義で、「この間言った、マグナカルタは1217年ではなく、1215年だった」と先生が訂正し、やっぱりーっとホッとしたのであった。このこともあり、この年号はしっかり頭に残っている。ま、年号よりも、その歴史的な背景とか意味とかが頭に残ってなきゃ、意味はないのよね。そもそも、学生時代に歴史のクラスそのものはあんまり好きではなかった。専攻は美術史だったが、それはまた別。教科書にいっぱい絵と写真があるしってそんなレベルか。

美術史専攻だというと、"Must be nice to be able to afford it"と電気工学専攻のメリケン男に嫌味を言われたことがある。要するに、職につきにくい、あまりにアカデミックな分野をちんたら勉強できていいよねという意味である。彼は必修科目の物理の成績が芳しくなく、電気工学なんかヤだと文句ばっかり言っていた。アメリカの大学は途中で専攻を変えられるので、「じゃ、変えれば」と言うと、「父親も兄も電気工学部卒なのに、変えられるわけないだろう!」と激昂していた。知りませんよ、んなことは。興味のあることを勉強すればよいと言ってくれたうちの両親に感謝したね。

私は卒業する年には、美術史よりも社会学の方に興味が出てしまった。またもや、職につきにくい分野。私の興味の対象というのは、大抵こんな感じである。日本で働いていたとき、「どうしてMBAを取らなかったんですか」と聞かれて、なんで私がMBAを、と面喰ったことがある。何か知らないけど、MBAとか、CPA取得が「流行っていた」感じの頃であった。なんというか、周囲の「アメリカ留学」に対するイメージ・アイディアと私のバックグラウンドとは、非常に大きなズレがあって、話がかみ合わなかった。帰国を後悔するほど、孤独でしたねえ。

私が得た学位は美術史ではあるが、たかだか学部を出たくらいでは知識の量は知れている。美術史に本気の人は、修士・博士に進む。私は、美術史でなくともいずれ院には進むかなーと漠然と思っていたが(アメリカじゃ、必ずしも学部の専攻と院での専攻が同じでなくともかまわないので)、とにかく一度社会に出て働きたかった。

そうこうしているうちに、45歳になってしまった。おほほほほー。また勉強したいという気持ちはないわけではないのだが、何を?その後はどうするの?ということを考えると、アダルトエジュケーションあたりで教養を身に着けるという程度にしておくべきなのかなと思ったりする。

そういえば、大学のバイト先の上司がニューヨークのお金持ちの娘で、「おばあちゃんが、学生の間は学費も生活費も面倒みるという条件をすべての孫に提示したの」ということで、「だもんで、うちの従兄弟たちは全員いつまでーも学生やってて、無駄に高学歴なのよ」と笑っていた。おばあちゃん、条件をゆるく設定しすぎたね。

今のアメリカじゃあ、授業料のばか高い大学に進んで、美術史なんてものを専攻する人は、ますます減っていると想像される。

美術史を専攻したことに後悔はないが、もっと実用的な専攻科目がある他の大学のカタログを見たとき、「造園」とか、「インテリアデザイン」とか、おもしろそうなのがたくさんあって、こういう大学を選ぶべきだったかなあと思ったこともある。結局、うちの大学は、研究施設で、大学院が主なんだなあと、卒業する頃に改めて思った。

知的刺激というものは、自分で求める努力をしなければならないのだが、勉強は実はあんまり好きじゃないということと、自分はものすごく怠惰だ、ということを悟ったあたくし。そしてオンラインショップで数時間過ごしてみたり、塗り絵などをしてみたりするわけである。

しかし、歴史について知らないことや、うろ覚えだったことを目の当たりにすると、自分の教養と知識の無さに焦るのである。学んだことすべてが頭に残っているような脳みそであったらいいのだが。そんなことを願っている暇があれば、歴史の本の一冊でも読めばいいのだ。でもブログとか書いたりして。

以前、文庫で読めるので手軽だとかで話題になっていた、マクニールの世界史の本も店頭で手にとっては見たのだが、なんせ文庫版。おばさんには字が小さすぎて読みにくいのよ。

でもハードカバーは高いし重いから嫌とかね、色々難しい年頃なのです。