暑い。まだ日本は夏だった。

韓国に行くPと一緒に空港へ行った。ヘルシンキの空港では、日本人もこの5月から試験的に自動化ゲートを使えるようになっていて、出国審査が早い。ただ、顔の認証だけですむEUの人とは違って、奥にいる係員に出国のスタンプを押してもらわねばならない。そして、私はその係員がどこにいるのか、本気で見えなかった。キョロキョロと前後左右を見ながら、あれ、どこ?と迷った。ゲートの向こうでその姿を見ていたPは、鶏がケージの中でうろうろしているようだったと笑っていた。うるさいよ。
係員ったら、うすぐらーいブースの中で、黒い制服着て、だまって座っているのだもの。もっと明るい照明にしてほしい。ぼわーっと顔だけ白く浮き出ていて、"Oh! I didn't see you!"と驚いて言ってしまったくらい、そこに人がいることに気が付かなかった。迷ってるのをだまって見物してないで、声をかけてくれ。

「じゃ、週末にね」とPは隣のゲートでソウルへ。落ち着かない結婚生活。猫人間の私はじっとしていたいのに。