Gil Evansの誕生100年を記念したコンサートに行ってきた。ライブパフォーマンスはやっぱり良い。
いつもどおり、休憩前は静かな観客も、休憩中のワインに助けられて、後半はヒューヒューと声もあがる。わかりやすいアルコールの影響。
小僧にしか見えない若い奏者もかっこいい即興演奏で場内を沸かせていた。即興部分を聴くと、皆さん当然のように上手に演奏するので、それが当たり前だと思っていたが、一度、気の毒になるくらい迷子になってしまったサックス奏者を日本のライブで見たことがある。他の楽器の奏者とキーが違うし、本人もそれに気づいて、プー、プー、とぶちぶち途切れた音をときどき吹いて、必死でキーを探しているという感じであった。聴いてるこっちがハラハラしたが、結局まともに吹くことができず、彼の持ち時間は終わってしまった。曲が終わった後のメンバー紹介のとき、バンドのリーダーの人が、「さっきおもしろい即興をしたXX君です」と言ったのが、可笑しいやら可哀想やら。
センスもあるだろうが、勉強と練習もたくさん必要なはず。ジャズではないが、子供の頃、ヤマハ音楽教室のグループレッスンでも即興は結構やらされた。私はセンスが無いので、退屈なメロディをちょろっと弾いて無難に終わらせるのが常であった。一度、なんだか知らないが調子に乗ってえらく長い即興をし、そろそろ終わるかと思ったところでまだ続けようとして、クラスメイト全員から「え〜、まだ〜?」とブーイングを受けたことがある。長いことは自覚していたので、「そうか、やっぱりみんなも長いと思うか」と可笑しかったのを覚えている。あのクラスは、みんな仲良しでよかったなあ。嫌な競争心とか、変な嫉妬とかがなく、和気藹々としていた。帰りにデパ地下にみんなでソフトクリームを食べに行くのも楽しかった。それが一番楽しみだったかもしれない。
自分にセンスが無いので、作曲や即興が上手な人を見ると、心から感心する。若者もベテランもいた昨夜のジャズオーケストラだったが、皆さん上手で楽しかった。メンバーは、以前とは変わって、若い人が多くなっている。顔を真っ赤にしてトランペットを吹くヤンさんはいなかった。ちょっと寂しいわ。