私は特にキアヌ・リーブスのファンというわけでもないが、見ると「あら、いいわね」と思う。視界に入らないとすぐ忘れる。
久々に見たキアヌ。紳士。

髭をはやして長髪の頃のキアヌなら誰も気づかないだろうが、こんな「もろキアヌ」の顔で地下鉄に乗ってもほとんどの人が気づいていない様子。下手にサングラスなどかけず、顔は出しておいた方がばれないということか。「まさか彼が地下鉄になんて乗るまい」という感じか。

これが嘘っこの動画だろうがなんだろうが、どうでもいい。「あぁ、そうだった、アメリカでは女性というだけで席を譲ってくれる男性がいたな」と遠目になった。

まだ学生の頃、日本で知り合いになったメリケン男と焼き鳥を食べに行ったことがある。食べ終わって私は手を洗いに行こうと席を立った。すると彼も腰をあげる。「おお、すごい、女性が立つと自分も立つという紳士っぷり。焼き鳥屋なのに」と感心した。手を洗って帰ってくると、座っていた彼は椅子から立ち上がろうとする。「いいよ、座ってて」と言うと、「お袋に、"お前は不細工だから見た目では女の子にはもてない。だから、紳士的なマナーだけはきちんと身に着けるように”と言われて育ったんだ」と言う。別に特別不細工だとは思わなかったし、その言い様はお母さんどうなの、とは思ったが、確かにこういう古典的とさえ言える紳士的行動を実際にされると、「あら〜、紳士なんだから〜」と好感度はアップである。お互い全然恋愛対象ではなく、単に焼き鳥を一緒に食べただけだったが、紳士と食べると気分が良い。私は淑女であっただろうか。「ビールおかわり!」と淑女は頼むまい。淑女は男性に頼んでもらうのだろうか。

ドアを開けてもらったり、せまい通路を先に通してもらったり、荷物を持ってもらったりと、アメリカ滞在中には見も知らぬ通りすがりの紳士たちに親切にしてもらった。

そういえば、フィンランドではそういう経験がないな、とまた遠目になるのであった。