ばあ様は、デイサービスにアメリカ帰りの男性がいるとよく言う。最初は「へえ」と聞いていたのだが、ばあ様の思い込みのような気がする。「なんでわかるの」と聞くと、「服装とか、靴とかでわかる。赤いシャツとか着て」と偏見丸出しである。「日本にずっといる人だって赤いシャツ着る人はいるよ」と言うと、「いやいや、服だけじゃなくて、態度も。なんかえらそうで横柄」だと。
ごめん、えらそうで横柄で。

実際、大学休学して日本の英会話学校でバイトしたとき、サラリーマン生徒に「態度がでかすぎて笑える」と言われました、あたし。椅子の座り方がえらそうだったらしい。背もたれによっかかって、足組んで、右腕を背もたれに軽く置いて、生徒の話を聞いていた。

いやいや、決してこんなセクシーではなかったし、私は下着をつけていたが、座り方としては似ている。

なんてえらそうな小娘だ。

今ならよくわかる。まさに笑える。でも当時は悪気はなく、私にとってはえらそうにしようとか、相手を下に見てるとか、そんなことは一切なく、ただ単に楽な姿勢で座っていただけであった。態度がでかいと言われたのがあまりにunexpectedで、本気で驚いたのでよく覚えている。I meant no disrespectなのよ。こんな姿勢で座ってる先生なんて、高校のときからしょっちゅう見ていたので、悪いこととも思ってなかった。ま、ここは、私が日本人小娘で相手が日本人30代リーマンということもあるとは思う。私の見た目がガイジンだったら、「そういうもんか」で済んだかもしれない。いや、やっぱえらそうですか。