夕方、デパートのバッグ売り場をウロウロしていたときのこと。若い女性店員が、「どうぞお手に取ってご覧ください」とにこやかに言う。会釈をすると、店員はさらににこやかに続ける。
「入園式のバッグをお探しですか?」

なんでじゃ。

えーっと、店員の発言を真に受けてみると、来月幼稚園に入る4歳児を持つ母親に見えたということは、あたしは若ぶりということなのだろうか。
って、これを本気に取るほど私は世間知らずではないでね。「入学式」の代わりに「入園式」と言えば、喜ぶお母さんがいるかもという意図じゃないの。どっちにしても、質問自体がおかしくないか。そういうシーズンであることはわかるが、唐突すぎる。それに、見ていたバッグはカジュアルに使うものだと思ったのだが、最近のお母さんは、そういうのを持って入園式に行くのだろうか。
ちなみに私の格好は、薄いダウンジャケットを羽織ってぼろいトップを隠し、下は履き古したジーンズで、黒い革のショルダーバッグを提げていた。育児と生活に疲れた感じに見えたとか。