ばあ様が退院して帰宅し、各自新しい生活に順応していこうというプロセスにある。ばあ様の夜間の様子がまだよくわからないので、そこは私が実家に泊まって記録している。両親には夜はちゃんと寝て欲しい。どうせ夜遅くまでいつも起きている私なので負担ではない。こういうとき、時間の自由がきくフリーランスでよかったと思う。自分の老後を考えると気を失いそうになるけど。
帰宅したからすぐに落ち着くというわけでもなく、また環境が変わったので、まだ混乱している部分もある。特に夜間。病院と同じようなベッドに携帯トイレまで置いてあり、しかしなぜか孫が現れれば、一体自分はどこにいるのだ、と混乱してしまうのも無理はないだろう。帰宅した夜は、寝ぼけていたこともあるだろうが、様子を見に行った私を看護師と勘違いして、布団を直した私に「どうもすみません」と言った。「ここは家よ。私はケイです。」と言うと、「ああ、ケイちゃん?ああ、ここは家。もうわけわからん」と言ってすぐにまた寝た。確かにわけわからんだろう。あたし、マスクして懐中電灯持ってたのよね。ごめん。
入院していたことを忘れていることもある。もともと手術のことは記憶から抜け落ちているのだが、骨折したことは言えば思いだし、「そう!ころんだんよ」と言う。まだ手術したところが痛いこともあるのだが、そこがなぜ痛いかがわからず、不安になることもあるようだ。不安っていうのがよくないね。心穏やかに過ごせるのが一番である。
退院を2日後に控えた晩、ヘルパーさんの一人が、「おばあちゃん、がんばっておられましたよ」と言ってくれたのが嬉しかった。確かに97歳という高齢でよくがんばったと思うわ。あの病院に対しては言いたいことは山ほどあるのだが、ヘルパーさんの存在は素晴らしかった。明るくて優しくて働き者。一番お世話になったのは彼女達である。トイレの後始末など、恐縮してお礼を言うと、笑いながら「当たり前のこと!」と明るい。本当に感謝している。
来週ばあ様の誕生日である。ショールを編んでいるのだが、毛糸が足りなくなってきた。まずいな。