手術室にカスタネットがあったことをPに伝えた。Pは「カスタニェットなんて叩くのが難しいではないか。自分だったら、手術よりも、苦しいときにうまく叩けるかどうかが心配だ」と言う。
「英語じゃ、ニェットじゃなくてネットだよ。カスタネットの何が難しいのだ。貝みたいに開いたやつよ」と説明すると、開いたのは見たことがないという。ということは、Pが言うカスタネットとは、フラメンコダンサーなんかが持っている本格的なものなのかと、Googleでイメージ検索して確認した。
これが手術室に置いてあったやつ。日本人にはお馴染みだろう。

Pが言うのは、開きっぱなしではないタイプのもの。
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私だって、これを手術前に渡されたら緊張する。「練習させてください」とお願いするだろう。
今回の件で、生まれて初めてカスタネットを英語で語った。発音はキャスタネッなんだろうか、と辞書で調べたりもした。これまでカスタネットの意味さえも知らなかったが、スペイン語の栗"castaña"から来たものらしい。カスターニャ。チェストナット。スウェーデン語では、"kastanjetter"というらしい。それでPが「カスタニェット」と発音していたのだな。
もし、患者がフランメンコダンサーだったら、手術中に苦しいときにすごく上手に叩いて、医者がオーレッ!とか言うんだろうか、とか、日本人ならやはり拍子木がいいかな、でも大きすぎるか、などとつまらんことを考えて仕事をなかなか始めない猛暑の朝。