なんだかんだ言って、日が暮れてからデパートに行ってみた。昼間は暑くて体が動かなかったので、19時過ぎてから家を出た。梅雨明けで、オフィシャリー夏である。ああ、しんどい。
デパートの靴売り場で、紺色のエナメルのサンダルを見た。甲の部分のベルトにキラキラとスパンコールがついているが、控え目で派手派手しさはない。その青い色が好みだったので、試着をしてみた。どこも痛くない。かかとより靴が出ているとかっこ悪いので、鏡に映してみるが、ジーンズの裾を持ち上げようと腰を曲げているため、今ひとつきちんと確認できない。近くにいた男性店員に「大きすぎないですか」と聞いてみた。ちゃんとかかとが少し出ているくらいでサイズはそれでいいと店員。買ってしまおうかと脱いで手に取ってみたが、ふと、もしかしたらこのスパンコールがいずれ取れるのではないかと思った。「このキラキラしたのは、取れたりするんですか」「取れますね」と即答。あまりに即答で、「は、そうですか」とちょっと笑ってしまった。接着剤をかけてその上に乗せているだけなので、ちょっと当たったり擦れたりすると取れるらしい。うーん、こんなにきれいな色なのに残念だなあとあきらめきれない私は、「でも普通に履いてるくらいだったら・・・」と言いかけると、すかさず「取れます」と店員。
もう絶対取れるらしい。
「どうしても、片方の足がもう片方に当たったりとかしてしまうので、取れるんです」とのこと。大きなビーズがついているものだと直してもらったという話を聞いたことがあるのだが、平たく接着剤でつけてあるスパンコールなので、「取れても、直すわけにはいかないですよねえ」と言うと、「そうなんです。直せるとか、取れないものとか思って買うと、取れたときにショックを受けることになるんですよね」ともう、なんというか、正直である。「白い靴と同じで、今の状態がベストと思っていただかないと」と言う。なるほど、それはわかる。まあ、どの靴だって、履く前の状態が一番きれいなわけだが、汚れや劣化が目立ちやすい靴というのは確かにある。
色は本当に好みだったのだが、スパンコールが取れないように緊張しながら歩いていては、私のような人間は絶対ころぶ、と思い、購入を見送った。
こうなると、欲しいのは「紺色のエナメルのサンダル」とこだわってしまっている。1週間もすれば忘れるとは思う。ああ、残念だなあ。