モシモシの話。

アメリカに数年住んでいた女性が知り合いにいる。マンションのエレベーターでときどき一緒になる年配の男性が、毎回笑顔で「モシモシ!」と挨拶してくるのが苦痛だったと言う。最初に彼の勘違いを訂正すればよかったものの、英語がまだうまく出てこず、どぎまぎしている間に彼は降りてしまい、それ以降、「モシモシ」と言われるたびに曖昧な笑顔でヘローと返事をし、エレベーターに乗るときには「彼に会いませんように」と祈っていたらしい。罪な女。

以前、P母が勤めていた会社の日本の取引先の男性がいつも「モシモシ」と電話に出るので、フィンランド側では彼のことをMr. モシモシと呼んでいたと言っていた。この「モシモシ」という響きはフィンランドの人にはおもしろく感じるのか。繰り返しだからか。ちなみにフィンランド語では、電話に出るときに「Haloo(ハロー)」と言う。これに英語のhelloのような「こんにちは」の意は無い。

このMr.モシモシは、P母がかけてきた電話を直接受けるときに「モシモシ」と出ていたのだろうか。それとも、別の人が電話を取り、それが転送されてきて、既に相手がP母とわかっている状態で「モシモシ、P母さん?」とわざと日本語で答えていたのだろうか。

とりあえず、P母には、「鳴っている電話に出るときには、モシモシではなく、ハイが正しい」と言っておいた。細かすぎただろうか。いや、どうせならやはり正しい日本語を知っておいてほしいではないか。